司會者:本日は福島県民健康調査における 甲狀腺スクリーニング検査の倫理的問題と題しまして大阪大學の高野先生にご講演いただきます私は本日進行役をさせていただきます大西と申します どうぞよろしくお願いします[會場拍手]本日の講演は2時間ありまして 先生のご講演を90分殘りの30分ほどを質疑応答という形で
使わせていただきたいと思いますのでご協力をよろしくお願いします まず開會に先立ちまして主催者の岡林君からご挨拶をよろしくお願いします主催者:どうもお越しいただきまして ありがとうございます大阪でやるのは久しぶりでしょうかね市民社會フォーラムはご存知のように 社會問題一般のいろんな形でやってますけど今回のテーマはちょっと毛色が違うと言いますか
科學あるいは醫學の問題ですねそれは社會的問題ですね 先ほどの甲狀腺スクリーニング検査が 倫理的に問題があるのではないかというところの話ですその趣旨については案內文にも書いてる通りですが それをちょっと読ませていただきます2011年10月以降
福島県で県民健康調査の一環として原発事故當時に18歳以下だった県民38萬人を対象に 甲狀腺のスクリーニング検査が計畫されたこの甲狀腺スクリーニング検査というのが 無症狀の集団に対して超音波で甲狀腺の狀態を調べる検査 こういうのが初めてやられた今3巡目を実施して5月から4巡目が
開始されるということですねこの県民健康調査の目的というのが 県民の不安を解消することと県民の健康を見守るとともに 事故による被曝線量の評価を行うとともに被曝による健康への影響について考察するそれと事故の影響が県民の健康に及ぶ事態を想定して その予防や治療に寄與するということですねしかしここで県民調査の検討委員會の中で
醫學研究的側面を鑑みて倫理的観點から評価し直すべきだという意見が あるということですね醫學者からは「過剰診斷」 過剰診斷という言葉はなかなか一般の方は聞き慣れないことだと思うんですけど あとでお話があると思います過剰診斷の恐れがあるゆえに
「ヘルシンキ宣言に反する」とヘルシンキ宣言とは 人間を対象とする醫學研究の 倫理的原則ということですね有り體に言えば「患者さんの利益にならないような 検査はしてはならない」とか「人體実験等はしてはならない」ということですね そういうようなことですねそれらのことからして
甲狀腺のスクリーニング検査を中止あるいは見直すべきという意見も 出されているということですねそういう立場でいらっしゃるのが 今日お招きした高野先生ということになります高野先生は県民健康調査の検討委員會の委員とその中の甲狀腺検査評価部會委員を 兼務されていますご略歴にもあります通り
大阪大學で甲狀腺の研究を専門とし実際に多くの治療にも 當たっていらっしゃるということですねこういった県民調査をめぐる論爭に関わって… あっ今日はくれぐれも醫學的な話をする場であって政治的とか運動がどうのとかいう話は 全く抜きにしますねそういうお立場の方にご意見を言っていただいても
構いませんが そこが焦點ですのでつまり 甲狀腺癌の自然史 過剰診斷過剰治療のリスクなど一般の市民には分かりにくい 醫學的常識について講演しましょうとまぁ醫學的常識と言っていいのかどうかは
(賛否両論が)あるかもしれませんがそこの弁も含めて まずはこの問題點を 確認していこうというそのような趣旨で今日は開催しておりますということで あとこれが高野先生からいただいた配布資料です パワーポイントではもっとたくさん資料があるかと思います今日はいつものように動畫を録畫しまして
後日ホームページに公開いたします質疑も含めて録畫して公開するということですので それは了解をお願いいたしますということで…司會者:はい ありがとうございました それでは高野先生よろしくお願いします高野徹先生:本日はお招きいただきまして
ありがとうございます私が少し危懼してますのは 結構私は口が軽くて…[會場笑い聲]このぐらいの人數だと 思わず友達言葉で喋っちゃうのでちょっと失言とかぽろっとしそうで怖いんですけども90分なので あまりひどいことを言うと
いろんな人に迷惑が掛かるので今日はかなり抑えて やろうと思います普段の學會とかではかなりガーッと飛ばすんですけど 今日は90分もたないかもしれないのでちょっと抑えていきます [會場笑い聲]甲狀腺検査の倫理的問題ということで
最近よく私に言われるのが福島県は高野先生に倫理問題を語らせるなんて 恥ずかしいぞと言われていてよっぽど私が倫理問題と言ったのが柄じゃないと いうことで捉えてるみたいでまあ実際に柄じゃないんですがなぜ倫理問題ということを私が委員會で 口走ったかということまで話したいと思います実は本當に私は
去年の10月に福島に行った時にこれはものすごく厄介なことを 引き受けてしまったなと思ったんですけどこれは厳密にはまだ確定してません但し 恐らく世界で最初の 子どもの癌の過剰診斷というものが福島で起こっているということで これはどういう意味を持っているかというと誰も経験したことがないことであるということそれからもう一つは
誰も解決した経験がないので みんな手探りでああでもないこうでもないとやっている狀態というのが 非常に悩ましいところであります一番悩ましいのが何かと言いますと本當に専門家でもためらうほどの え?
本當なの?というようなことを福島県民に分かってもらわないといけないということが 非常に辛いところでありましてまず 甲狀腺癌の自然史 それから 過剰診斷それから
超音波検査の危険性 この3つですけど いずれも多分どれも教科書に載ってないです具體的にどういうことになるかというと例えば甲狀腺癌だったら転移していても 治療してはいけない癌があるという事実それから過剰診斷だったら 早く見つけて早く治してはいけないという通常の癌の常識とは全く違う概念
それから超音波の危険性といったら超音波というと當てるだけだから どの醫者に聞いても大丈夫だよというはずですだけどこれは違うということで この3つの 全く常識外れと一見取られそうなことを分かってもらわないといけないということで
これは非常に難儀だなあと思ったんですが多分 ここ半年で かなり皆さん勉強されてると思いますここ半年ぐらいの進歩はものすごいんですけどもぜひこれからもしっかりと勉強していただきたいと思います本日のテーマはこれだけご用意しています 甲狀腺癌の自然史それから
甲狀腺超音波検査の功罪 福島で何が起こったか私の目から見た福島の 何が起こったかという狀況を話したいと思いますそれから 過剰診斷はなぜ止まらないのか
そして対策としてどうしたらいいのかというところまでお話ししますまず甲狀腺癌の自然史から入ります 自然史というのは甲狀腺癌というものがどのように発生し どのような経過をたどるのかという話でありますこれは今教科書に載っている癌の 一般的な話です正常な細胞が
癌遺伝子の異常と いうものがあって遺伝子が壊れるんですねそれでまず腫瘍化する 腫瘍化して放っておくとどんどん悪くなって例えば増え方が速くなったり 転移能といって遠くに飛ぶような力を獲得したりするこれは多段階発癌というどんどん
悪くなるということですよねだから 癌の一般常識としては 悪いものを置いておいたらどんどん悪くなるから早く見つけて早く治療すべきというのが つい最近までの癌の常識でした実際
甲狀腺癌ではどんなことが 言われてきたかというとこれが2013年までの考え方です甲狀腺癌というのは中年以降 だいたい概ね30歳以降に出てくるそこから ペースは違うんですけど
だいたいがゆっくり増えるのでそんなに怖くない中にはガーッと増えるのがあってこういうので 癌死することはあると こういうイメージで見てたと思いますポイントは30代までは 癌は無いというのが
甲狀腺癌を研究している大部分の人たちの常識でしたところが そういう方でも不思議に思っていたのが 若者の甲狀腺癌なんですこれは私が見ていた例ですけど いずれも小學生の時に撮った寫真ですちょっと見にくいですがヨードシンチグラフィーというもので
どこに癌の細胞があるかを見てるんですけどもこの人は分かりやすいですね 頭 肺 ここが胴體ですねここは膀胱です 足ですね 頭 胸 ここが膀胱になりますね頭 首 これは肺ですねこれは多分小學生なんですよ 親御さんがこの絵を見たらびっくりするでしょううちの子はえらい(大変な)ことになってるわ肺中に転移があるというふうになるんですけどもこのお三方 この寫真を撮った時は小學生です
今はもう大學生か成人になってますけど3人ともピンピンしてます普通は「こりゃあかん」と思うと思いますけど 違うんですだいたい子供の甲狀腺癌というものは 子供はCTなどの検査を受けないのでだいたい大きな腫瘍がガツンと4-5cmあるようなもので まず何か変だぞというのが見つかって見つかってみると
こういうふうに首とか肺とかにバリバリ 転移しているという狀態で治療を受けに來ます聴講者:黒いところが転移しているところなんですね?高野:黒い所はそうですね ここだったらもう肺が 全部やられてる狀態ですねものすごく派手に転移しまして再発率も非常に高くて
40%というデータも出ていますだから治療してもまた出てくると 大丈夫なのかという話になるわけですけども放射線治療が非常に著効しまして 死亡例は極めて少ないということで數が少ないのでなかなか正確な數字が出ないんですけどもだいたいのところで100人に1人とか100人に2人とか要するに生存率が99%とか98%とか そういうレベルの報告がされていますこれは私がつけた名前ですこういう癌のことを
Self-limiting Cancerと言っていますこれは英語ですね 日本語でちょうどいい名前がないのでまだ日本語で何と言うかと迷ってるんですけども「途中で成長を止める癌」と言ったらいいのかなぁ ということですがちょっとややこしいので
私は「若年型甲狀腺癌」という名前をつけていますこれはいろんな言い方があって例えば日本醫科大學の杉谷先生は 「低リスク甲狀腺癌」と言っていますし武部先生という方は「無実の癌」と言っています私がなぜこういう名前をつけたかということは 後でご説明しますけども何せこういう特殊なものであると 具體的な成長過程が分かってきたのは震災の後です 2014年です
だから甲狀腺癌の自然史の話をするときは2014年以前と以後では全く話が違うということに ご注意くださいでは2014年のいくつかのデータを見ていきますこれは神戸の隈病院の 伊藤康弘先生らが出したデータです隈病院では小さな甲狀腺癌1cm以下のものは すぐに治療せずに経過を見るということをしていますそれで20年近く経過観察をして
どのくらいのペースで小さな癌が増えているかということを検討したんです橫軸に注目ですが これは月ではなくて年ですすなわち10年観察しても8%しか増えていない ということですなわち大人では甲狀腺癌少なくとも小さなものに関してはほとんど増えていないということが分かりますじゃあ大人で増えてないんだったら どこで増えているのかという話になりますよね30代40代50代で増えてないということは
子供の時に増えているとしか考えられないわけですこれもびっくりするようなデータなんですけれど年齢別に分けてみました 40歳未満 40歳から59歳 60歳以上でどの世代がどのくらい増えているかということで これも多分 最初見た人はこれは誤植じゃないかと思ったと思うんですよね普通は歳をとればとるほど増えていくというのが
今までの考え方だったので 正反対なんですよ若いときに増えているのに 60を過ぎると全然増えないんです要するに何が起こっているかというと この1235例のうち
癌死した人はゼロなのでこれらの癌は悪性化していないということなんですこれがSelf-limiting Cancerというものです ということで神戸の隈病院のデータで分かることは 恐らく子供の頃に増えているけども大人になったら成長を徐々に止めていくとこういう図が見えてきますもう一つ
これも有名なデータですけども 韓國のデータです韓國では2000年ごろから甲狀腺の 超音波検査の施行數が大幅に増えましてそれとともに甲狀腺癌が増えました これはなぜかというと小さな甲狀腺癌は大人では非常に高頻度なので
超音波をかければそれが見えるということでどんどん増えてしまったわけです その當時の考え方からすると癌というのは 置いといたらどんどん悪くなるから早く見つかったものなら早く取りましょうということで これは全員手術したわけですそういう考え方からすると癌は小さなうちに予防的に切除すれば
確実に癌死する例は減るはずだったんですが不思議なことに5年たっても10年たっても 15年たっても ほぼ今20年経ってますけどもいまだに甲狀腺癌の死亡率が減ってこないとこれは一體何なんだということになったわけですすなわち今まで常識とされていた 小さな癌が悪性化して癌死を引き起こすというのはこれは間違いということになってしまうわけです 実はこのデータにはもっと深い意味がありまして手術が無駄だったということですよねでは手術が無駄だった癌というのは
どういう癌なのかということを整理してみます要するに超音波でしか検出できない癌というのは 手術しても無駄ですよということですそれが具體的に何かというと 明らかな転移がない例えばリンパ節が腫れたりしない 肺に影があったりしない そういう方で小さな癌が超音波でしか見つからないということは
多分1.5 cm未満ですそういうものが手術しても無駄だったということになりますがところが 甲狀腺癌というのは変な癌でして 1cm以下の小さな癌でも
顕微鏡で見ると50%程度に常に頸部リンパ節に転移しているんです これは 甲狀腺癌は早期に転移する頸部リンパ節転移というのは 怖くないということの裏付けにもなるわけですこれがどういう意味になるかというと
転移してても一生悪さをしなくて逆に手術したら損になるというものが確実にあるとしかもかなり高頻度であるということが この韓國のデータは示しているわけですすなわち転移しても治療してはいけない癌というのが これ本當に人類史上初めて見つかったんですということで この韓國のデータが意味するのは こういう小さなものが成長を止めたものですねここから悪さをするというのは あるとしても
非常に確率が少ないということです3つ目のデータは 去年出たばかりの 福島県立醫科大學の緑川先生のデータですこれは福島の子供の甲狀腺癌の経過観察のデータから結論を言うと 大きなものほど成長が遅くなっているということでこういうグラフ
ちょうど隈病院のデータで ここはこうかなと描いたものを今度はこっちからせめていく感じになるわけです多分ちょっと嫌な話ですけども福島の甲狀腺検査がこのまま進んでいくと 隈病院のデータとつながっちゃうんですということで 今の甲狀腺癌の自然史のまとめですまず多分
かなり子供の 若年者の段階で発生していて そこから最初はかなり速く成長するところが中年以降成長を止めるので これでは癌死する人はほとんどいないあるとしても非常にまれ癌死するのはどういうのかというと
こういうゆっくりしたやつの中のごく一部が突然中年以降バーンと増えるか それとも全然発生母地が違うところから出るかと実はこれの一部がさらに悪くなるというのが 多段階発癌説と言われるもので全然発生母地が別というのが 芽細胞発癌というものです私がこのSelf-limiting
Cancerという名前を つけた理由なんですけども「若年型甲狀腺癌」と これから(ここでは)統一して言っていきます武部晃司先生はこれを「無実の癌」と言っていますほとんど一生症狀を現さない癌ということを言ったんですけど実はあまり無実じゃないやつが一部あるんですよねごくまれでけど 多分若年発症で
成長がめちゃめちゃ速いのが時々あってそれは臨床症狀を出しますただ成長が遅いので いずれ成長を止めるのでこういうふうになるんですけどもただある程度超えると やはり転移したりするので治療は必要だということで無実じゃないやつが 極めて稀ですけど含まれてしまうのでちょっと無実の癌というのは
使いにくいなということでSelf-limiting Cancerとか 若年型甲狀腺癌と言っているわけですこの頻度がどうかというと1 cmぐらいのレベルの無実の癌との比率を考えたら恐らく1対999なのでほとんどこっちですSelf-limiting
要するに後々成長を止めると考えれば発生初期 幼年期に非常に派手に 増殖したり転移したりするのに治療すると大人しくなるというのは 納得できる話になるわけです若年型甲狀腺癌の経過をまとめていきます恐らく5歳ぐらいまでには発生しています若いうちは比較的急速に増大しますところが中年以降だんだん増殖が遅くなって
そのうち増殖を止めますその段階でほとんどは微小乳頭癌 小さな癌ということで一生を過ごしてしまうということになりますということで 甲狀腺癌の大多數は 若年者では問題を起こしません子どもの甲狀腺癌の精密検査をすると
早すぎる診斷になりまして一生悪さをしない甲狀腺癌 これは過剰診斷につながる30年から40年後に診斷すればよかった甲狀腺癌 これは前倒し診斷と言いますけどこういうものを拾ってしまうだろうということが今の甲狀腺癌の自然史からは 推測できるということです実は若年型甲狀腺癌の治療のタイミングというのはちょっと難しいと思っているんです最初は成長が速い
いずれ成長を止める但し悩ましいのは 早期に頚部リンパ節に転移しているということなんですこれがどういうことになるかというと早く治療しすぎたらどうなるかというと小さい內に小さいから取りましょうと取りますよねでも この段階でもう頚部リンパ節には転移してるんですここを取ったのはいいけど 何年かしたら
また頚部リンパ節だけ腫れてきたということはありえるまぁ最初から拡大手術してたら ここまで取ってるんですけど最初小さいからといって 縮小手術をする可能性がありますよねそうするとこうなっちゃう 2回手術が必要になるということでこれが非常に悩ましいことで
どうしようかということで今 縮小手術をしたほうがいいんじゃないか という意見もあるんですけど私はちょっとそれはどうかなぁと思っているんです甲狀腺の原発の腫瘍というのは頚部リンパ節にまず行って それから遠隔転移というふうに広がっていきますけど遠隔転移は確かに防ぎたいんですよね
なぜかというと手術だけでなく放射線治療が必要になるからですでも あまり早く治療しすぎると再発して2度手術というのは嫌だということになるので2回目の手術は非常に難しくなりますから 合併症が多くなるんですよねだからここを考えると 私の極めて個人的な見解からいうと頚部リンパ節が腫れた辺りが
(治療の)タイミングとしてはいいのかなと要するに頚部リンパ節が腫れた次は 遠隔転移なのでここになったらもう手術したほうが いいだろうということになるんですけど早すぎる治療というのも ちょっと問題があるかもしれないと考えていますついでに言いますけど発癌モデルと福島の子どもの甲狀腺癌ということにちょっとだけコメントします実は2014年まで主流だったいわゆる
古典的多段階発癌説は甲狀腺癌は中年以降発生する と言ってたんですだから逆に福島のスクリーニングが許された背景というのは子どもにスクリーニングしても出ないだろうという多分そういう見込みがあったんだと思いますところが 今日ちょっと私が一箇所だけ自慢することがあってちょっと辛抱して聞いていただきたいんですけども2014年の韓國と隈病院のデータと福島のデータというのは私が前に論文に書いていた通りに全く一致したんですよねそこでこういう話をするようになったわけですけど実は じゃあこれで高野の天下になったかと言われると全然そんなことはなくて
なぜかというと今は多段階発癌と言っていた人も 同じことを言ってるんですよね例えばこのDilwyn Williamsさんという方はチェルノブイリにも関わった世界的な権威の 甲狀腺の病理醫ですその方が何と言ってるかというと
ここに要約してますけど2015年の論文で 甲狀腺乳頭癌の大部分は幼少期に発生して大部分の乳頭癌は大人の時期に死に至ることなく極めて成長が遅い微小癌と呼ばれる狀態で留まると私と全く同じことを言ってるということで どこに違いがあるんだということなんですだから甲狀腺癌の自然史に関しては これは學術的なやり合いというのはないんですなので
今の芽細胞発癌と多段階発癌の違いというのはどうしてそういう自然史が起こるのかというところでメカニズム的なところで意見の違いがあるということでそういう意味では非常に殘念なことですが福島県民は芽細胞発癌を勉強していただく必要はない という結論になるんですけど興味があったら勉強してくださいですからここから先は芽細胞発癌とか多段階発癌か という議論は出てきません2番目 超音波検査の功罪
というところですまず 子どもが超音波検査を受けた場合 どんないいことがあるのかという話ですが実はいいことは何もありませんこれが非常に重要な點ですけど 超音波検査で早く見つけておいたら仮に甲狀腺癌になってもその後の
経過が良くなるという期待は明確な誤りですこれも誤解が多いんですが今後放射線の影響で甲狀腺癌が出る可能性があるとしても超音波検査がその対策として有効という考えは間違いですこれは我々甲狀腺専門醫の常識です実は1月にWHOのメンバーとの意見交換會があったんですけどその時に ある先生が チェルノブイリの甲狀腺癌になった症例の中で超音波検査を受けたからこそ助かったという人が1人でもいるのか?
という質問をされた先生がおられました私は隣で聞いていて きついことを割と言われるなぁとは思ったんですけど當然のことながら誰も その質問に対して回答できませんでしたこれが常識なんですよところが福島ではその常識が なぜか別のことになってしまっていて超音波を受けたらいいことがあるということを
みんな信じて超音波検査を受けているというのが実情なんですそのエビデンスがどこかというとまず 米國予防醫學サービス専門作業部會 ちょっと長いんですけどこれが非常に詳細な報告を2017年(去年)にしてまして論文を読んでいただく必要はないんです 結論としますと世界中の論文を調査したんですけども
超音波検査を受けた結果 死亡率が改善したとかその後の経過がよくなったということを示す論文は 一つもなかったということを言っていますこれはあくまで大人のデータが中心なので子どものデータが無いじゃないかと言われるかもしれませんが子どもで有益だというデータもないということなんですよ一般的な常識からすると 要するに経過の悪いやつの経過をよくするというのは非常に簡単ですただ元々経過がめちゃめちゃいいものを さらによくするのは非常に難しいのでそういうことから考えると甲狀腺癌というのは年齢が高ければ高いほど経過が悪いのでそういう高年齢の方に対しても
超音波検査が有効でないということだったら恐らく めちゃくちゃ経過のいい若年者の甲狀腺癌に超音波をしても経過を改善することは期待できないだろうというのが 普通の考え方だと思いますということでアメリカの甲狀腺學會のガイドライン(2015)には子どもにおいては超音波検査による癌の 早期診斷のメリットは不明であると記載していますだから仮に被曝の影響が考えられるような子どもであってもいきなり超音波検査をするのではなくて
まず觸診をしてから異常があったら さらに精密検査をしましょうと いうことが書いてありますここはちょっと誤解を招くような論説もあるんですけどもアメリカ甲狀腺學會のガイドラインでは 超音波検査を勧めてはいませんなぜこんなことになるか不思議だと思うんですけどそれはこういうことなんですよ甲狀腺癌は超早期から転移しているのでここで小さい段階で見つけましたといってもすでにリンパ節に飛んでるんですだから はよ見つけたで
どや (早く見つけたよ どうだ!)と威張ったところで早期じゃないんですだから早く見つけること自體 ほとんど意味がないということなんですね子どもが超音波検査を受けた場合 どんな害があるのかこれは一番害があるのは過剰診斷です過剰診斷というのはどういうことかというと見つけても利益のない病変を見つけてしまうことです甲狀腺の場合は一生気付かれないはずだった癌を
見つけてしまうということです甲狀腺癌の自然史を見てもらったら分かるんですが子どもの頃にグワーッと増えてほとんどが途中で成長を止めてしまって 一生悪さしない一部はもしかするとこういうふうに 悪化するかもしれませんけどもそれも40代50代になってからですだから このような將來ほとんど止まってしまう仮に悪くなるとしても40代50代のものをこの位置で見つける必要性は全くないはずなんですよくある意見ですが小さい癌であってもあったら心配だから
見つけるべきという意見をよく聞きますところがこれは本當に怖いんですよ子どもの甲狀腺癌の過剰診斷ってめちゃめちゃ恐ろしいです若年型甲狀腺癌は死なない癌です でも癌なんですよねなので世間一般では 甲狀腺癌と診斷された子どもは 甲狀腺癌の患者です本人も(自分自身を)癌だと思います だから診斷されたその日から
立派な癌患者になってしまいます10代20代で癌と診斷されたら 何が起こるか過剰診斷の議論で 例えば甲狀腺癌は手術をちゃんとしたら傷口もきれいだから問題ないですよ 合併症も
少ないですよという話が出るんですけどそういう話じゃないんです 傷つくのは 體じゃなくて子どもの心と人生なんですまず一番重いのは その日から 明日をも知れぬ重病人扱いされてしまうということ本當に
子どもの人生を見ていると 大學行きますとか就職しますとか結婚しますとか出産しますというそのたびに 悩みはる(悩まれる)んですよね節目ごとにそういう波がくる殘念ながら結婚差別が明確にあります例えば結婚しようと思ったら パートナーの親からまぁパートナーは言わないですよ…パートナーの親がこの子
小さい頃に癌をやってたんだろ? このあと壽命大丈夫かとか結婚して子どもを産んだら 子どもが癌になるのとちゃうかと絶対に言われるんですよ特に今
福島の子どもはこれからどんどん癌になるとか福島の子どもは 子どもに影響が出るから結婚できないとかいう風評がある中で癌という診斷をつけることの重さというものを認識しないといけないと思うんですもう一つある意見は癌が見つかっても手術しなければ問題ない 経過観察 しましょうという意見も出てるんですよねこれに私は明確に反対です なぜかというと経過観察のほうが手術するよりも殘酷ですちょっと想像していただいたら分かると思いますけども風評被害が収まらない中
子どもの甲狀腺癌を治療しなかったらどうなるかなんですそもそも10代20代で診斷したら ここから先の経過観察は50年60年ですよねそれ 普通はまぁできないでしょうそれはそういう物理的なことがあると同時に やはり同じく癌を持っているということで人生の區切りごとに
「自分は大丈夫なのか?」と悩むんですそれから 手術した場合は一応治した患者になるんですよね 問題なのは
手術した時と違ってでも手術しないと こういう見方をされるんです特に福島の子どもであることで 放射線のせいで癌になったのに治療も満足に受けようとしない子どもであるとみなされますこれが多分非常に大きな差別を生むと思いますこういうのに耐えられないので結局手術になると思いますそうなったら「あーあ 最初から手術しといたらよかったなぁ」ということになるのが見えていますだから私は
癌が見つかったらやはり子どもの場合は手術したほうがいいんじゃないかと大人と違って非常に経過観察はハードルが高いというふうに考えるべきだと思います過剰診斷に関する誤解をいくつか解いておきたいと思いますまずよくある意見が 「しっかりと検査すれば過剰診斷は防げるのでは?」これはよく聞く意見ですよね ただ
ちょっと考えてくださいどれが本當に治療の必要がある癌か分からないからこそ 悩んでいるわけでそれが分かったら誰も苦労しないわけなんですよね2番目「外科醫は手術をガイドライン通りやっているので 過剰治療ではないと言っている」とこれは現在のガイドラインはそもそも 見逃しを防ぐことが目的なんですだからガイドライン通りやっても過剰診斷は存在しますだから
今のは見つけないことを防ぐためのガイドラインなんですねそれからもう一つ大事なことは今の甲狀腺癌のガイドラインは大人の癌を対象として作っていますだから子どもの癌というのは非常に稀なのでそれを意識したガイドラインではない要するに厳密な意味からすれば今は子どもの癌に対するガイドラインというものはない と考えていただいたほうがいいですそれから 「過剰診斷は醫療過誤ではないのか?」これもよく議論になりますけども過剰診斷
要するに癌を見つけ過ぎちゃいましたということを罰する法律は今ありませんだから それで罰することはちょっと無理だろうとそれから そもそも誰が過剰診斷かというのは分からないんですね私が過剰診斷ですと言ったって君は過剰診斷違うだろうと言われたらそれでおしまいです過剰診斷の被害の問題點というのは過剰診斷の被害にあったからといって誰にも泣きつくことができないということなんですこれもよくある質問ですが 一生悪さをしない癌(過剰診斷)ではなく中年以降出てくる癌の前倒し診斷の場合は
どうなるかということですけどもこれでも害はあります なぜかというと 病気である期間 癌患者とされる期間が數十年前倒しされるということと まず大事なのはやはり若者の場合は進學就職結婚があるのでこのハードルを越えるのに 癌患者であるかないかはものすごい差なんですねだから大人の癌と全然違うということは認識しないといけないということになりますよねということで福島県民が知っておくべきこと無症狀の段階で甲狀腺超音波検査を受けることで 得することは何もありません一定の確率で損をしますだから無症狀の人に甲狀腺検査を実施するのは國際的には非推奨ですではどんな割合で
こういう過剰診斷あるいは前倒し診斷の 被害に遭うのかということなんですけども日本病理學會の剖検データベースがあるのでそこから潛在癌 すなわち生前には分からなかった癌が どのくらい見つかるかというデータが取ってこれますそれがこのグラフなんですけども若い年代は數が少ないので
頻度に関してはちょっと疑問が殘りますが要するに15歳以上だったら見つかると考えてください35歳以上はだいたい數も揃ってるのでだいたい信頼できると思いますけども頻度よりはグラフの傾きを見てもらったらいいと思います特に ここがちょっと不安定ですけども こうとかこうとかならないので多分まっすぐ行くと考えて線を引くとこうなりますということはここの段階で 35歳の段階で人間ドックのデータでは 潛在癌というのは超音波検査したら200人に1人見つかりますということは15歳から35歳までこういうペースでガーっと上がるということが十分推測されるわけですよねということで35歳まで
県の計畫では35歳までやるとなってますけども35歳までやったら確実に1900人が過剰診斷の被害に遭いますというところで 次…ごめんなさい… これは2番じゃなくて3番ですね福島で何が起こったかというところを 私の感想も含めて話してみたいと思いますまず原発事故が起こりました私は大阪で
金曜日だったと思いますね何か揺れてるなぁと思ってボーッとしててその當時はまさかこんなところで話すとは 思ってなかったんですけどもこの當時いろんな情報が流れてきました我々甲狀腺専門醫がどう思ったかということを このスライドにまとめてますけども甲狀腺癌の増加を予測していた甲狀腺専門醫は 私の知る限りいませんでした科學的には
甲狀腺癌を調べる必要はないよね ということをみんなで言ってたんです理由としましては 甲狀腺癌のリスクになる レベルの被ばくはないということを聞いていたからですね一つは
放出された放射性ヨードが少なかったことそれから 牛乳の出荷制限等で 濃縮された放射性ヨードを飲むことがなかったこと実際この當時出てたデータではチェルノブイリで 放射性ヨードの被曝のリスク甲狀腺癌のリスクがあるところのレベルからは
桁が1つから2つ違うというデータが出てたはずです山下俊一先生ですね この當時「ニコニコしている人のところに放射線の害は來ない」と言ってましてみんな実は「山下先生 さすがにいいこと言うなぁ」と言ってたんですよそれがあんなふうにバッシングに遭ってこれどうなってるんだろうなぁというそういう印象でしたね非常に殘念ながら こういうことがあったので福島県民と甲狀腺の専門家の間にはかなり溝ができてしまいましたなぜ我々が放射性ヨードに楽観的だったかというとバセドウ病や甲狀腺癌の治療用として 非常に長い歴史を持つもので放射性ヨードの動態は
よく分かっていないという意見もあるんですけどこれはものすごくよく分かってるんですよ半減期が8日なので3か月ぐらいすると完全に消えてしまうベータ線が甲狀腺の細胞を破壊するんですけども 內照射によって體の中に入らないと影響はなくてその辺にうろちょろする分には問題ないということですよねびっくりされると思いますけど福島で騒がれてた量というのは 10べクレルとか20べクレルですよね我々がバセドウ病良性疾患に使う量というのは 數億べクレルちなみに私が今週扱った放射性ヨードの量を
計算してみたら41.81億べクレルなので私の體には多分數十べクレルぐらい付いているので 怖い方は今日あまり近づかないほうがいいと思います大事なのは ものすごく長い歴史があるので バセドウ病の患者って若い女の人が多いので若い女の人に投與した経験というのもあるんですよその子どもさんたちも大きくなっていて
子どもさんにも全く影響がないということで放射性ヨードは子孫には影響しない これもはっきりしています2011年に県民健康調査が開始されました 超音波による悉皆検査だということを伺いました感想は 「うーん
仕方がないのかなぁ」という感じですよね多分 開始の理由はあくまで県民の安心のため 甲狀腺癌が検出されないことを確認して収束されるんじゃないかなという感じだったのかな と思います これは私の勝手な推測です実際
もし開始していなかったら福島県を中心に無秩序な検査が行われてさらに混亂をきたした可能性は非常に高いと思いますこういう予想だったんですね 多分その當時の甲狀腺癌の自然史の考え方では甲狀腺癌は30歳以降出てきてそこから大きくなるから子どもで超音波検査しても出てこないから出なかったねで終わりにしましょうということだったんだと思いますところが あにはからんや未成年で非常に高頻度で癌が見つかって大変な騒ぎになったということはご承知のことだと思います実は検査が始まって早々に 放射線の影響が少なかった會津地方で他の地域と変わらずに多數の甲狀腺癌が
見つかりましたこの時點で過剰診斷または前倒し診斷の存在が 確定的になっていたわけなんです今から振り返ると このデータというのは 福島県民にとって非常に有益なはずだったんです実はこの検査は
3年後に開始したらいいじゃないか という意見が最初はあったらしいんですけどねもしこれを3年後にしてたと思ったら ぞっとしますよね恐らくあっちこっちでバーッと甲狀腺癌が出て これは放射線の影響だということで大混亂になっていた可能性が高いんですだから直後にやったというのは今から考えれば
非常に英斷であったと思いますですから言っておかないといけないのは福島県での甲狀腺超音波検査というのは震災直後の混亂を最小限に抑えるためには有益だったということは確実だと思いますこれはしっかり主張したほうがいいですしかし2014年以降超音波検査の有害性というのが明らかになった時點で方向転換をすべきであっただろうということだと思いますその當時いろんな先生方の発言を聞くとちょっと言い方を変えてます大人の癌を早めに見つけてるんですよ ということですよねだから 実はここで発生するのではなくてここから出てきてゆっくり大きくなってるんだというところに解釈を変えていたような感じですこれは私の私見ですので本當にそう考えてはった(考えておられた)かどうかは 分かりませんけど現在見つかっているのは
中年以降見つかる癌を前倒しで見ているとスクリーニング効果であるということになりますねではどうなるかというと 1巡目ではここで ここまでに増えた分を捕まえるからガバーっと見つかりますただ2年後はここでスクリーニングするのでこの幅は少ないのでほとんど見つからないだろうとだったら2巡目をやっても安心だろうねということで多分継続したんだと思います これも私の勝手な推測ですただ私はこの解釈は違うと思ってたんです1巡目で拾い上げたら2巡目では癌はほとんど出ないというんですねなぜかというと
癌というのは普通は2倍4倍8倍16倍32倍と指數関數的に増えますだからこういう増え方じゃありませんこうなりますじゃあどのくらい増えたら超音波で見つかるか臨床的な癌になるかというと超音波サイズまでは30回分裂が必要ですそこから臨床癌までは3-4回しか要りませんだからもしも今見つけているのが大人の癌の前倒し診斷だということだったらここで例えば20歳とかで すでに超音波で見つかってるとここまで30回分裂しているとところが大人 40歳50歳になるまではそれまで2年に1回ずつ分裂してたのが10年に1回ずつしか突然分裂しなくなってまた50代から増え出すとこういう妙な話になってしまいますだからこれは違うんだろうなときっと別なデータが出るだろうなと思ってたんですけども10代で見つかるものは絶対に20代で 臨床的な癌になるはずなんですね
計算上は実際2巡目以降も多數見つかってさらに混亂を広げてしまったわけですだからこういう考え方でいると ちょっと分からなくなっちゃうのでもう一回 甲狀腺癌の自然史に戻っていただいて子供の頃は最初は成長が速くそのうち成長を止めるとしたらもう子供のうちに出ていますから子供で拾ったらいっぱい出るのは當たり前で子供の年齢がどんどん上がっていくと特に15歳から25歳までは急に成長するので2年ごとにやっていったら年齢が上がるたびに出てくるのもこれも當たり前ということで 何の不思議もないわけです2013年ごろから韓國で過剰診斷が話題になりまして私も韓國の研究者と色々話をするようになりました2015年10月に韓國內分泌學會で話してくれと
言われて行った時に韓國の狀況を聞けましてこの當時韓國ではすでに過剰診斷が 非常に社會問題になっていて何とか抑えようということで 向こうでは8人ぐらいの 非常に少數のお醫者さんだったらしいんですけども非常にアクティブに
抑えましょうということで頑張りはって(頑張られて)2015年時點では超音波検査は下向きで 癌の症例數も下向きになっていましたよかったですねと帰ってきてちょうど翌週に 日本甲狀腺學會があったんですけどもまぁちょっと私 失禮な話ですが
非常に愕然としましてその當時でもまだ 福島の超音波検査を頑張ってやるぞ! という雰囲気だったんですその瞬間
これはもしかして福島の子供って非常に 危険な狀態に置かれてるんじゃないかなということでそこで初めて非常に恥ずかしながらですけども その時點で初めて気づいたんですその後に書いたのが この私のホームページの文章ですけども「若者の甲狀腺癌をどう扱うか」ということでここからちょっと足を踏み入れてしまったと実はこれを書いた時に非常に反響がありましてこういう情報がやはり必要とされてるんだなぁ
ということが非常によく分かりました福島で発生している甲狀腺癌は何者か これは非常にはっきりしてます疑いの餘地がないです まず県及び環境省の説明からはほとんどが過剰診斷の結論以外導けません これは3段論法ですけどもまず小児甲狀腺癌の自然発生數はというと
福島県の人口なら數人しか出ないはずです2番目 放射線の影響なのかと言われたら 國連の機関のUNSCEARが放射線による健康被害は考えにくいと結論づけています 放射線の影響じゃない
じゃあ何なのと言われたら余分の症例は検査しなかったら見つからなかったはずの癌ということでいいですかとなったらそうですと言うしかないですよねこれは県も環境省もここまで言ってないですけども要するに放射線の影響じゃない明らかに増えている じゃあ差は何かといったら検査してるからという結論以外は導けません4番目 過剰診斷はなぜ止まらないかという話を したいと思います過剰診斷って私も理屈上は分かってたんですけども 実際に対応してくださいと言われたら恐ろしいなと思ったんです
なぜかというといくつか理由はあるんですけどまずすぐに分からない 後で分かるんですよね親としては子どもを被曝させてしまったかもしれないいてもたってもいられないと子どもが癌になったら心配検査を受けさせたいと思って受けさせますよね検査に來ました 內科醫はどう言うかというとそれ大事ですね 一生懸命見つけましょうと言って一生懸命見つけるわけですよ何か見つかったぞ!になりますよね見つかったらどうなるか外科に回します 外科醫 見つかりましたねじゃあ手術やめときましょうか なんて言いませんよねよし 見つかりました
では早めに手術しましょうとなりますということでところがこれを繰り返していくとあれ? 何か妙に多いなぁということになるわけです誰も自分が悪いことをしているとは思わないわけですよね実際誰も悪いことはしてません 親
何で検査を受けさせたんですか?子どもを被曝させてしまったかもしれないし 子どもが癌になったら心配だし検査を受けさせたい 親の気持ちとしては當然至極です內科醫としたら やはり親がこれだけ心配してるんだから
頑張って見つけてあげたいとやはり思うじゃないですか一生懸命見つけるんですよ外科醫 せっかく早く見つかった 親も心配している じゃあ早く手術してあげようとなりますだから誰も悪くないですよねでも症例が増えてくる誰も止められません親 検査を受けないと不安
不安でいてもたってもいられない受けさせないという選択肢はありません內科醫 見つけて(見つけたのに)見逃して 見逃したじゃないか!と言われるのが嫌なんですよ今の醫療體系ではそうなんですね 見逃しは非難されるので
見つけにいくんです見つかってしまった外科醫 手術しないで置いときましょうなんて絶対に言いませんなぜか? その結果悪いことがあったら 非難されるからですこれは今の醫療體系がそうなってるわけです だから 早く見つけて早く手術しないと非難されるんですよ早く見つけて早く手術したら
何も文句を言われないんですだから誰も止めようとしないんです結局また 何か數が多いなぁで 終わってしまうということになるわけですじゃあ何か悪いことをしたかなぁと思うかというと 多分今回の福島の件でもそうですけど內科醫としたら
悪いことをしたと思いたくないんです早く見つけてよかったね にしたいんです そのほうが平和でしょ なのでそうします外科醫 これはもう特に外科醫はそうなんですよね 無駄なものを切っちゃったと言われるのをものすごく嫌がります 自分が手術したのは
手術すべきものだったということを信じたいんです実は一番 多分違うと思うのは 親だと思うんです親が例えば過剰診斷だということを言われたとしますよね信じるかというと信じないんですよねなぜかといったら 自分が検査を受けさせた手術を受けさせた それが無駄だなんてとてもじゃないけど受け止められないでしょだから
過剰診斷ですか?と言われたって過剰診斷です あぁそうですか なんて絶対ならないです逆に多分
過剰診斷だという話になったらその親御さんは他の人にうちの子は早く見つかって助かったんだからあんたも超音波検査受けなさいねと多分言いますこれが非常に問題になるところだと思いますちょっと先程も言いましたけども 過剰診斷の恐ろしさの一つで誰が被害に遭ったのか 誰が被害に遭ってないのかが 全然分からないんです過剰診斷の被害に遭ったと訴えたところで
例えば福島県では今200人近くが甲狀腺癌と診斷されてますけども その中には必ず 治療してよかった例というのがあるんですが治療してしまった以上 誰が治療してよかった人で 誰が治療する必要がなかったかが分からないんです治療が有効だった人が一定數含まれてしまうから過剰診斷だ!
と訴えてみても 誰も話を聞いてくれないということで非常に厄介な狀態に置かれてしまうわけです過剰診斷は 正しいことをやっていても起きます過剰診斷は被害に気づかれにくいですみんな正しいことをしてるんですよでも何か変な 正しそうな
綺麗そうなのがいるんだけども何か変だなぁみたいな感じでちなみにこれは僕が作った過剰診斷のゆるキャラで「過剰くん」と言うんですけども [會場笑い]この過剰くん 注意しないといけないのは 非常に綺麗な姿をしています一見 悪そうな姿は絶対してないんですよただこれに非常に注意が必要ですでは最後のところに行きますけども 子どもたちの未來を守るためには何をすべきかということをちょっと考えてみたいと思います必要なのは科學と倫理だと思いますまず大事なこと 科學を伝える
これは大原則だと思いますけども今福島で起こっていることは 非常に簡単なことなんです超音波による過剰診斷 これ以外の結論にはまずなりませんいろんな人がいろんなことを言ってますポジショントークもあるんですけども ただ誰が何を言おうと何をしようと最終的には本當に1+1=2みたいな話なので科學的に正しい結論に行く以外の結末はないんですねだから結論というのは超音波検査の中止なんですが要するに遅いか早いかだけの問題だと思いますただ被害を最小限に食いとめるためにはできるだけ早く解決したいとそれにはどうするかというとまず
専門家があまり正直はっきり申し上げにくいんですが腳色しはる(なさる)専門家がいはる(おられる)んですよね少し色をつけちゃうこれはすごくよくないと思うんです過剰診斷にもいろいろあって…みたいな話をされる方がおられるんですけども これは非常によくないストレートに愚直に率直に 科學的な事実だけをしっかり同じことを何べんも何べんも言ったらいいと思うんですけども言うべきだと思うんですねそこで何か妙なポジショントークが入ったり腳色がついたりすると本當に分かりにくくなって 事態を先延ばしさせてしまうととにかく科學的にストレートど真ん中をずっと伝えつづけるということが特に我々専門家の責任としては大事なのかなと思います是非皆さんに理解していただきたいのは今理解できてない人も
いつかは絶対に理解しますなぜかといったら本當に1+1=2みたいな話だから他の結論になりようがないんですただ日本というのは民主主義の國なので大多數の方がその結論に納得してくれないと物事が動かないので 今あっちの方向に行ってる方にもちょっとこっちに寄ってきてほしいんですよねそこで例えば我々から見てると1+1=10みたいなことを言ってる人もいっぱいいるわけですけどもそういう人もいずれは1+1=2と言うと思うんですよただ我々が 向こうが1+1=10と言ってきた時に1+1=2だよと上から目線でいくと相手も立場があるので1+1=10とか11になっちゃうことが多分あると思うんですよねだから多分 そういう方も長いことやってるとちょっと俺
何か少しずれてたかなと思いはる(お思いになる)タイミングがあると思うんですそういう時に 池乃めだかみたいにこれぐらいで勘弁しといたろか…みたいな感じで戻って來れるように少し隙間を作っておいてあげたほうがいいのかなと思います私自身も どうかなと思う人のアプローチもよく受けるんですけどもあまりそこでガチンコに勝負するのはよろしくないかなと思っているんですここから先は かなり難しいというか
ややこしい話をします醫學倫理の話ですね 醫學倫理というのは 一番大事なものは何かを考えることだと思うんですこの福島の問題の中で科學的に正しいことをしましょうでは 決着がつかない議論というのがあります特に一番厄介な議論は ここに挙げてあるんですけども「福島県民が不安を抱えている限りは
超音波検査を続けるべきだ」とか「しっかりと検査を続けて健康影響がないと分かって 初めて福島県民は安心する」とかこういう議論は検討委員會でもしばしば出てくる議論ですこれは正論なんですよ まごうことなき正論なんですが何か違和感があるんですよね本當にこれでいいのかどうかということですずーっと違和感があって私 それで思い出したことがあって下手な漫畫ですけど 2015年ぐらいですよねちょうど甲狀腺癌の自然史という話で
ひっくり返ったという話が出た時に結局それが最終的に決定打になったのは やはり福島のデータだったんですそこで私はこの話を20年ぐらいやってたので ある學會で講演した後にある ずーっと昔から私のことを知っている先生が
講演の後で「ああ君よかったね 福島のおかげで 20年言ってたことが やっと認められたね」と(その先生が)言ったんですよその時
20年ですよ 普通は嬉しいと思うじゃないですか 全然嬉しくなかったんですよすごく嫌な感じがした これは何だろうなぁと思って すごく違和感があったんですけどもそれともう一つ
最近よくある議論で 「38萬人検査した」 これは世界に稀な事態で要するにそれによって子どもの甲狀腺癌の 自然史というものがはっきりと分かってきたわけですここまで來たら もう頑張ってやりましょうよという意見が
実はあるんですよね頑張ってやったら それこそ例えば僕が言ってたように 甲狀腺癌の自然史がはっきり分かる特に あと30年続けたら
その後こういう 子どもで 見つかってる癌がどういう経過をとるのかもはっきり分かるから 今まで20年間やってきた多段階発癌
芽細胞発癌の議論も そこで決着がつくじゃないですかやりましょうよ という話が実際あるんですこれも確かに私にとっては非常にいい話なんですが やはり気持ち悪いこれ何だろうなぁというところに思い至って
こういうことなんだと思ったのが醫療不信といって お醫者さんのことが信用できないという人が 結構いるんですけども私の感覚では ほとんどの醫者は誰でも
目の前の患者が傷つくのを見たくないという本能がありますこれは本當に本能です自分が実際に目にしている人たち この人たちが 例えば自分のしたことで悪いことが起きるという結末だけは見たくないという意識があるんですよね これは何に基づくのかと思った時に醫學倫理だと思ったんですじゃあ今まで感じてきた違和感というのは
醫學倫理というものを調べたら何か解決の手立てがあるんじゃないかと思って 本當に學生以來ヘルシンキ宣言というものをちょっと見てみたんですがこのヘルシンキ宣言 一応ご存知ない方のために 言っておきますけども第二次世界大戦の時にナチスドイツが
むちゃくちゃなことをやりまして醫學研究と稱して人體実験みたいなことをやったので これはさすがにいかん(いけない)だろうということで戦後に醫學者たちが集まって 醫學研究というのは こういう形でやりましょうねということを決めた醫學倫理的な原則であります
3-4ページの非常に短い書類なのでざーっと見ていくとこういう文章がありました 一応言いますけども 研究する場合ですよねヘルシンキ宣言第9項 被験者の生命
健康 尊厳 全體性 自己決定権
プライバシーおよび個人情報の秘密を守ることは醫學研究に関與する醫師の責務である被験者の保護責任は常に醫師またはその他の 醫療専門職にあり被験者が同意を與えた場合でも 決してその被験者 に(責任が)移ることはないと書いてありますこれはちょっとややこしい書き方をしていますけど
何を言っているかというと被験者 要するに検診を受ける人がやってくれ と言ってるからといって健康被害が発生するような研究をしちゃ ダメだよということを明確に言ってるんです要するに福島の場合は子どもですよねだからこの醫學倫理の規定ではまず対象者である子どもを守れと非常に明確に書いてありますこれで何とかなるかなぁと思ったわけです実際
今の福島の超音波検査が醫學倫理を 逸脫している點を一つずつチェックしていきますまずインフォームドコンセント これは対象者にどのような情報を與えるかという話ですこれはヘルシンキ宣言の第26項 それぞれの被験者候補は
目的 方法 資金源起こり得る利益相反 研究者の施設內での所屬
研究から期待される利益と予測されるリスクならびに起こり得る不快感 研究終了後條項 その他研究に関するすべての面について十分に説明されなければならないと実際はこれだけ説明するのは なかなか困難ではありますが少なくとも最低限の情報は與えないといけないはずなのですが今のインフォームドコンセント
説明文はどうなっているかというとこう書いてあります まぁ禪問答ですよね 検査の結果治療が必要な変化が発見され早期発見 早期治療につながることもありますが 甲狀腺の特性上治療の必要のない変化も數多く認めることになり
ご心配をおかけすることもあります というようなことで失禮ながらこの最後の 「ご心配をおかけすることもあります」でずっこけてしまったんですけども なぜこんな文章になったのかというのはそれぞれ裏事情があるんだと思いますけども
何とも言い難い…まぁ何なんでしょうねぇという感じなんですよね これでは対象者は 何がよくて何が悪いのか全く分かりませんなので何を説明しないといけないかと言いますとまず私が一番問題だと思うのは多くの福島のお父さんお母さんが子どもに甲狀腺超音波検査を受けさせたらいいことがあると思って受けてますでもいいことないんですよ何もだから甲狀腺超音波検査は 個人には健康上の利益がないことを説明しないといけない當然ですね いっぱい調べたら放射線の 影響があるかないかどうか分かるかもしれませんそれは個人個人の利益ではないわけですよね 福島県としての利益なんですだから自分の子どもが自分の子どもがと言って受けさせるのは
これは明らかに間違った受診態度なんですその説明が全くされていないそれから 過剰診斷という深刻な不利益があるということが「ご心配をおかけします」の一語で説明されてしまっていると何のことやら分からないということですよねそれから やはり利益より不利益が上回る検査であることを明確に説明するべきであろうと思いますもう一つ 甲狀腺超音波検査が醫學倫理を
逸脫している點ですねこれは學校検診なんですけども ヘルシンキ宣言の第25項「醫學研究の被験者としてインフォームドコンセントを 與える能力がある個人の參加は自発的でなければならない」とあります要するに強制性があってはいけないと いうことですけどもこれは學校で行なっていること自體に
強制性があると捉えられても仕方がありませんだから強制性を極力排除して本當に希望する対象者だけ 子どもだけが検査を受けるようにしないといけないこれは當たり前のことでありますが 特に今は例えば 3時間目が終わって1時間あけてその間に検査してまた次の授業を始めるという形でやってますので
業間(授業と授業の間の休み時間)でやってるんですよ業間でやってたら もしも子どもが 検査を受けたくないという意思を示したとしたら例えば90%ぐらい受けてますよね そしたら受けたくない子どもは一人だけポツーンと教室に殘ってぼーっとしていないと
いけないということになるじゃあやはり どうしてもそんなの嫌だから みんなで受けようという話になりますでしょこれは非常にまずいということで 少なくとも業間の検査の実施というのはこれは
やめたほうがいいだろうなと思いますそれから 學校がする 先生が指導している これはすごく信頼感があるんですよねだから「ものすごくいい検査だ これは受けないと 何かきっと悪いことがあるに違いない」と思われてしまいます だから
學校のスタッフの発言とかにも 気をつけていただかないといけないかもしれません要するにこの検査というのは 學校で(普段)やっているような體重測定とか視力検査とか そういう性質のものじゃないんです子どもに対するメリットを想定してやってるものじゃないんですよ子どもに対するメリットを想定してやってるものじゃないのでそこのところを十分に認識してもらう必要があると思いますだから學校検診という體制は
非常に要注意だと思います実はヘルシンキ宣言に厳密に従えば 超音波検査というのは継続することができませんなぜかというと ヘルシンキ宣言の第16項 「人間を対象とする醫學研究はその目的の重要性が被験者のリスクおよび負擔を上回る
場合に限り行うことができる」ということで超音波検査というのは明らかに不利益がありますだからその不利益を上回る利益を どこかから調達してこないと醫學倫理上は超音波検査を継続することは無理なんですじゃあどこにその利益を求めるかということですそれは超音波検査自體で求めることは難しいわけですよく言われているのは 不安の解消なんですけども本當に福島県で行なわれている甲狀腺超音波検査は 県民の不安の解消に役立っているでしょうかということですね私が個人的にびっくりしたのが
こころのケアサポートというものですこれって要するにトラウマ対策ですよね皆さん トラウマ対策が必要な検診って聞いたことありますか?私は非常に失禮ながら ある福島関連の環境省の
省庁の関連の人が説明に來た時にちょっと噛みついてしまったんですけどえ?トラウマ対策が必要な検診ってこれってどうなの?と言ったんですけどちょっと異常ですよねそもそも大阪にいると非常に分かるんですけども大阪の人たちは福島の甲狀腺癌 200例近く
放射線の影響だと思ってますこれを私が講演するとびっくりするんですけども 醫療関係者ですよ 私の講演を聴いた後で「先生の話を聴くまで福島の甲狀腺癌って 全部放射線のせいだと思ってましたアハハ…」と言ってるんですよ なのでこれはマスコミとかも悪いんでしょうが検討會議とかで 福島の甲狀腺癌が増えたと
言われるたびに福島の子どもは放射線の影響でダメになっているという そういう風評が広がってるような気がしてなりませんこれは今日の一番大事なスライドです 甲狀腺超音波検査の問題を非常に短く象徴的に表した文ですこれは「福島の甲狀腺検査は誰のためのものか」というもので 服部美咲さんという方が書かれたんですがこれね
一點だけ非常に殘念なのは 雑誌がこれなんですよね日本原子力學會雑誌(日本原子力學會誌)ちょっと色が付いてしまってて もっとこれは多くの人に読んでいただきたいんですが福島県立醫大の緑川早苗先生の話として こういうことが書いてあります子どもたちの多くは甲狀腺検査を受ける意味を理解
していません でもこの甲狀腺検査によって福島では放射線による健康被害が出ていないと いうことがいずれ証明できるかもしれないという説明を受けると「福島が大丈夫だということを証明するために自分が この検査を受けていると分かって嬉しい」と語りますこれですね…私はこの文を読んで10回ぐらい泣いたんですけども 非常に切ないですよなぜかというと福島の子どもは
親をはじめとした大人を安心させようと思って検査を受けてるんですそして誰が犠牲になるかというと 自分が犠牲になるんですよそれともう一つ切ない點はうちの子どもは 放射線の影響なんかどうでもいいから放っておいたらいいよという親の子どもはこの過剰診斷の被害を受けないんですね だから子どものことを真剣に思っている親ほど被害を受けてしまうそして
親が心配してるからやっぱり受けようかなぁという子どもほど被害に遭うんですこれはものすごく切ない狀況ですよねこれはどうしたものかなぁということなんですが不安の解消はメリットにはなりませんなぜかというと 先ほど言いましたけど 多數の甲狀腺癌が検出されたことで逆に不安を煽る結果になっている可能性… 可能性というかこれが事実ですよね出るたびに騒がれる
出るたびに福島のことが危ないと言われる こういう狀況になってしまっているとそれから 健康被害の発生に対する不安解消のために この検査を始めたはずなんですよそれが健康被害を出してどうするんだという話です
これは大きな矛盾ですそれから3番目としてやはりこれは考えてあげないといけないんですけども対象者は検査の意義を理解することができない子どもなんです大人が不安がるから 大人がデータが欲しいから大人が納得していないからという理由で子どもに犠牲を しわ寄せを押し付けるのはいかがなものかと大人としてそれはいいの?というのは必ず考えていかないといけない問題だと思いますもう一つ
これも考えていかないといけない問題なんですけども このまま超音波検査をずっと続けていったら放射線による健康被害が検出できるかもしれない だからやりましょうという意見これも非常に強いですよね 理解できますが ただ冷靜に考えていただきたいんですよね放射線による健康被害の有無に関して
今後大きな変更が加わりそうですか今どういう狀況かというと UNSCEARのデータを始めとして 放射線の影響は見えないと言ってますよね今38萬人検査して しかも7年経っている
その狀態でまだ見えていないこれからどうなるかというと もう3巡目の検査結果ではっきり分かっているように受診數がどんどん下がってきます それから しかも年齢が高くなるのでそういう方々は転居してしまって ものすごく検査の
解釈に対する阻害因子が出てくるんですよ今分からないのにこれから先 健康影響を検出することが 可能であろうかと考えた時に 多分これは私の個人的な意見ですが現狀の検査は健康影響を見つけるために
やっている検査じゃないと思うんですよ恐らく健康影響が見えないことを確認する検査で多分このままどれだけ続けても「健康影響は見えませんでした」で終わりますこれは間違いないと思います だからそれをやっていく意義はどうなのかということは本當に考えないといけないと思うんですそれで やはり考えていかないといけないのは 調査や不安の解消の手段というのが超音波検査でないといけない理由というのは私にはどうしても理解できない他にもいろんな手段がありますよね 癌登録のデータを活用する方法とかそれから やはり國際的に推奨されているのは
最初から超音波ではなくて専門醫がまず觸診で確認して異常がある人だけ 超音波のスクリーニングに回すというのがこれが一般的なやり方です なぜそういうやり方を取らずにわざわざ健康被害が出ることが確実な 超音波検査にあくまでこだわるのかこれは私は全く理解できないところであります但し
こういうふうに醫學倫理的なことを言いましたけども 私自身いろんな方の意見を聞いたんですけどもこういう意見もあります醫學倫理というのは非常に曖昧なものです 法律と違いますのでねだから 守ったほうがいいけど それはどうかなぁという人もいっぱいおられますですから
あくまで守ることが望ましいんですが守らなければならないというものではないという 解釈もあるんです特に福島は今 非常に混亂の中にある そういう中にあっては醫學倫理よりも優先されるべきものがあるという意見は
必ず出てきますそれに対してどこまで醫學倫理ということで強く言うかというのは 非常に難しいところではありますがただ やはり正しい醫療行為というのは科學的に正しくかつ倫理的に正しいものであるということは常に訴えていって そこにできるだけ近づくような努力は常にしていくべきだということは言っていくべきだろうなと思います今後福島での健康調査はどうあるべきかということですけどもよく放射線の影響を無視するのかと言われるんですけども
そうじゃないんですね放射線の影響 それは調べるんだったら調べればいいでしょう不安の解消 それができるんだったら したらいいんですけどもその手段として超音波検査というのは非常に筋が悪いんですよねこれを是非分かっていただきたい最低限子どもの人権を守るために必要なことは2つですまず福島県民全員に超音波検査の正しい情報を伝えること
特にデメリット超音波検査を受けたら受けただけ健康被害が出るということは 知っていただかないといけないそれから 學校検診の強制性を排除して あくまでデメリットは ちゃんと分かりましたよ
でも受けますよという人だけが受けるという體制にまずするべきです これをしないと子どもの人権を守れないです県民が十分な情報を得て自分の意志で受診する體制に まず本來の體制に戻していくということになりますただ 直ちに超音波検査をいきなりやめますということになると多分
これは本當に 我々甲狀腺専門醫としては 斷腸の思いなんですが無症狀の対象者に超音波検査をすることが まるで正義かのような風潮ができてしまったんですよこれは非常に困ったことで
2011年前までは我々甲狀腺専門醫というのは超音波検査というのは無症狀の人には やってはいけないということは十分に分かっていて非常に抑制的に使ってたのに 何も症狀のない人に全國津々浦々超音波をどんどん當てていくという狀況になってしまったただ この狀況をもう7年も続けてしまったのでここから急に例えば
福島の超音波検査をやめると言ったらさらなる混亂の元になる可能性はありますだから何らかの対応は取ったほうがいいと思いますが最終的には やめるべきだろうと思います今後福島での健康調査はどうあるべきかということで 県民の不安解消ならもっとよいやり方がありますそれは 問診觸診をしてから
必要があれば超音波検査をするということで例えば今2年に1回とかですけども そうじゃなくて不安な時にいつでも來るような體制にしても いいんじゃないかなと思いますなぜこう思ったかというと 先日たまたま私の外來に來られた患者さんがいたのでちょっとその話をしてみますねこの方はA子さん 元々東京に住んでおられて
震災の後に大阪に來られたよくありますよね 一種の自主避難者です 東京から大阪に東京にいると放射線の影響があるので 怖いと思って來られたとこの方はその子どもの8歳のP子ちゃんこれはお醫者さんで 大阪府在住の匿名希望の 醫師
高野徹さんです[會場笑い]この方はA子さん この方は甲狀腺機能低下症で罹かってるんですけども非常にやはり放射線が怖い人なんですよね 外來に來られてこういうことを言われた「私は震災の時に東京にいたんです 福島で原発が 爆発して
放射性物質がすごく來てものすごく恐くて 本當はすぐに大阪に來たかったんですけど なかなか事情が許さなくてしばらく東京にいたんです」という話をされたんです「私が一番後悔しているのは 私は本當に放射線に 対する知識がなくて
P子ちゃんを外で遊ばせてたんです」「ずーっと遊ばせてて 気づいたら放射性物質が あちこち舞ってるということを聞いて もう怖くて怖くて」「被曝させてしまってごめんなさい」という感じで
「大阪に來たんです」ということを言われたんですよねこのお母さん たまたま私が先日テレビ番組に出たのを見てて「この子をどうしたらいいと思いますか?」 ということを相談されたんですお母さんの診察に來たんだけど この子の診察は無いんですけどねちょっとサービスで診察したんですけどもこの子は何歳ですかと聞いたら
「震災當時は1歳です」と言うんです一応5歳までは放射性ヨードを浴びると 癌になる可能性がありますからその年齢には入ってますよね ということを言ったんですよねこういう話をする時に気をつけないといけないのは東京なんか(放射線量としては)どうでもよかったでしょ どうでもいいと言っちゃあれですけどそんなに心配しないといけないレベルじゃなかったんですけどもこういう方というのは理屈じゃないので放射線の恐怖症というのは理屈で説明できないから全否定しちゃダメだと思うんですよこんなに不安を抱えてるので
それをこのぐらいの幅に狹めてあげてそれに対する解決を出してあげるのが いいかなと思っているんですそこでこういう話をしたんですけども多分あまり影響はないと思いますけど 甲狀腺が心配だったら一応調べてみることはいいと思いますよと言いました「じゃあどうしたらいいですか?」と聞かれたのでとにかく超音波は
やめてと言いました今はいろんなところで超音波をやってるけども 甲狀腺の癌 子どもの甲狀腺の癌というのはものすごく性質がおとなしくて 良性とほとんど區別できないようなものだから全然早く見つける必要はないし
仮にこういうしこりになって出てきたとしてもその時點で見つけてあげたら命を取られることはまずないからだから慌てていろんなことする必要はないよと教えましたそうするとかなり安心されたみたいですでもそれでも心配だったら まず避けないといけないのは子供の時からものすごく小さな癌ができることがある小さな癌というのは たいがい一生悪さをしないもので そういう小さなものを見つけてしまうとその時點で一生悪さをしないものでも
この子に癌患者と診斷名がついちゃうから「そりゃまずいでしょ」 「ええ そうですね」ということでだからそういうわざわざ見つけないでいいものを 見つける必要はないから少なくとも超音波はダメ じゃあどうしたらいいかというとしこりになった段階で見つけたらいいので
その狀態で見つけてあげるように工夫しはったらいいと思いますと言ったんですよね「じゃあ具體的にどんなことができますか?」と聞かれたので一番いいのが 小児科のお醫者さんとか私とかの 甲狀腺の専門醫でもいいから觸ってもらったらいいと思いますよ
5秒で済みますからということで「じゃあ先生 私が患者なんですけど この子も觸ってもらえますか」というので觸りましたこうやってうーん くすぐったくないかな?
大丈夫?うーんちょっと觸るよ ハイハイハイハイハイって5秒で終わるわけですよお母さん 特にしこりはないし大丈夫だと思いますよ
でもし心配だったら例えば風邪とか引くでしょ 風邪とか引いた時に小児科の先生のところに連れていって ついでに首も觸ってもらったらいいんですよ觸るだけならタダだしと言ってこれどっちがいいと思います?超音波は 來て5分間なり當てるんですけど
黙って當てるでしょ こうやってイーって子どもは怖くて泣き叫んだりするんですよこうやってお母さんと話しながら 子どもと話しながら觸ってあげるもしそこで異常があったら超音波かけたらいいと思うんですけどねなぜわざわざ最初からいきなり超音波なのかというのが ちょっと疑問な點があるんですということで
A子さんとP子ちゃん 最後「さよなら」と 手を振ってくれました ということなんですここでこういうことを話すと質問が來るんですけども超音波検査をやめて觸診にした場合に
見逃して手遅れになることはない?これは當然心配ですよね ただこれに関しては損得で計算したいんですどういうことかというと超音波検査の場合 有効性は明確ではありません大人の症例のデータの見方なんですけども超音波検査で早期発見しても癌死した人はいるということなんですよ要するに超音波検査したって 死ぬ人は死ぬんですなので超音波検査しても見逃しがある可能性はあります當然觸診でも同じことなんです実は觸診の有用性も全くデータはありませんだから有用性がないという點では
こっちもこっちも引き分け過剰診斷の弊害でいうと觸診の場合はうちのデータでは腫瘍が1.5cm以上にならないと検出されませんこれに関しては2-3mmの段階から検出されますだから過剰診斷の弊害としては こっちのほうが圧倒的に多いどっちがいいかなと引き算したらこっちがいいに決まってるわけですねとりあえずこれをやってさらに心配だったら超音波を受けたらいいのでいきなりこれをやる必要はどう考えてもないはずなんですということで だいたい今日のテーマはおしまいというか最後におさらいをしてみますまず甲狀腺癌の自然史です 私が若年型甲狀腺癌と言っているものですけどもまず甲狀腺癌の大部分は子どもの頃にできていますものすごく頻度が高いです
子どもの頃は活発に増殖して派手に転移もしますけども治療の反応性がよいので 要するにどんどん悪くなることがないので命を取られることは稀です今までは非常に大きなしこりになってから 発見されていましたそれでも経過は非常によかったわけです ほとんどが一生悪さをしませんこの若年型甲狀腺癌 病理醫の先生によっては
良性と違うか?と言うぐらいのものなので早期診斷 早期治療が全く向かない癌の典型です甲狀腺超音波検査の功罪ですが まとめを言うと
利益はなく害がある超音波検査で甲狀腺癌を早期に見つけても その後の経過が改善するわけではないすなわち子どものためになるからと考えて受けさせるのは 全くもって間違いであります一定の確率 すなわち35歳になれば
200人に1人ぐらいの割合で本來は見つけなくてもよかったはずの 一生悪さをしない癌を見つけてしまう過剰診斷の被害に遭いますこの甲狀腺超音波検査というのは あくまで親の安心のための検査です子どもの健康を改善するための検査ではありませんあくまでもこれは苦肉の策でありまして誰も始めたくて始めたわけではないと思うんですよねなので県民の健康改善のための検査ではないのです甲狀腺癌の過剰診斷ですけども放射線による健康被害の発生が 科學的に否定されている以上福島の子どもの甲狀腺癌のほとんどは
本來見つけるべきではない無害な癌を掘り起こした過剰診斷であるというべきであります 超音波検査中止が唯一の解決策です科學的 醫學倫理的に正しいやり方にできるだけ近づける努力が必要です過剰診斷は非常に悲慘です 福島の子どもの未來を奪います経過観察を勧める方もおられますけども経過観察はもっと悲慘です福島県民健康調査は今後どうあるべきか
ということですけども2011年に甲狀腺超音波検査を開始したことは 仕方がなかったと思いますしかし被害を拡大しないように 方向転換を図る時期に來ています最低限子供の人権は守らなければなりませんそのためには甲狀腺超音波検査の弊害について 十分に伝える必要がありますそれから
學校検診での強制性を排除する必要があります放射線影響の調査方法がどうあるべきかを 議論すべき時期に來ていると思います健康被害を検査するための調査が健康被害を出してしまっては 本末転倒のはずです不安の解消について子どもに被害を與えない方法を模索するべきだと思います個人的にはまず超音波検査ありきではなく觸診や問診を優先する 実はこれが本來甲狀腺の診斷で行われているやり方なんですねまず觸診 問診をして検査しましょうという話をするこういう本筋の話に戻すべきであると考えています最後から2番目のスライドです私はホームページ上に福島の子どもの未來を守るための3つの提言
というのをしていますそれは「発信をする」「學ぶ」「守る」ですけども まず発信をしましょう専門家は今こそ口を開くべきであります 科學を語ることをやめてはいけません過剰診斷を語ることは誰かを非難することではありませんこれがやはり専門家に是非訴えたいことでありまして専門家が科學を語ることをやめると 必ず悪いことが起こるんですよこれは今までのいろんな醫療被害で
全て起こってきたこと だから専門家が科學的に正しいことを語るのをやめるというのは 非常に悪い狀況であると思わないといけないそれから よく言われるのは 過剰診斷を言うとあの先生が困るからとかこの人が困るとか 確かに言われるんですけども過剰診斷を語ることというのは 誰かの悪口を言うことではないと思うんですよねあくまで科學的に考えましょうということなのでそれをもってして過剰診斷という言葉を使うのを
やめましょうということをやっているとずるずると被害が収まらないのでこの辺は是非改めていただきたいと思いますそれから 學んでいただきたいということですけども 一番最初のスライドを出しましたけども本當に最先端の醫學を學んでいただかないといけない逆に福島県のお父さんお母さんに それを全部分かってもらったらこの問題はあっさり解決するんですキーワードは「甲狀腺癌の自然史」 「過剰診斷」「甲狀腺超音波検査の功罪」ですそれから 守るということですけども立場を超えて子どもを守ることで一致しましょうということでこの問題に関してはいろんな方が
いろんな利害関係を絡めあってしまって本當に複雑なんですけども ちょっと考えていただかないといけないのは大人の事情で子どもの健康を損ねるというのは 非常にまずいことである 少なくとも今 福島の子どもが非常に危険な狀態に置かれているこのまま置いてたら
どんどん健康被害が広がってしまうということはみなさんご理解できると思いますから そこに関しては立場を超えてまずそれを何とかすることを優先してあと あいつが悪いんだこいつが悪いんだというのは 後回しでやっていただきたいなと思います私のしゃべりたいことは以上ですがちょっと皆さんにご挨拶したい方がおられますので 最後のスライド特に過剰くんをよろしくお願いします以上になります ご清聴ありがとうございました[場內拍手]司會者:ありがとうございました時間があまりないので休憩なしで
そのまま質疑応答に行きたいと思います質問者1:はい[挙手]質問者1:どうもありがとうございました すごく楽しみに來てだいたい知りたいことを話していただけたので 大変よかったですほとんど 最後のところ賛同できるんですが
1か所 大人の事情の話をちょっと伺いたいんですがそもそもなぜ悉皆検査 38萬人全員調べるという計畫を立ててしまったのか?つまり最初から
不安な人だけを検査するという スキームでよかったはずですがにもかかわらず全員調べるというのをやり始めてしまったことが 問題だと思うんですけどそこには 研究したいという大人の事情があったようにしか
思えないんですけどもこれは大変答えにくいかもしれないんですがそれはいきなり研究倫理に反すると思うんですね実際 福島(県立)醫大に出されている倫理委員會の審査には そんなことは書いてないはずなんですよ僕が見た範囲では実は非常に最初の段階始めるのは仕方なかったと高野さんはおっしゃったんですが始め方というものが本當はあったのではないかと 僕は考えているんですけどねついでに言うと
結果の伝え方も A1 A2 B Cという分け方にしたんですけどあの分け方が逆に不安を呼んでいてあれが誰に必要かというと 結果を見る人にだけ必要で 親に必要ないですよね親に必要なのは
異常があるかないかだけだったはずなのにわざわざA2とBに分ける どうでもいいものを作るというのは親にとってはどうでもいいものを作って わざわざ不安を作りだしたかのように見えますあれが必要だった理由は やはり放射線影響に関してというよりは甲狀腺癌の自然史に関して
研究したかったのではないかと考えざるを得ないんですが ちょっとお答えいただきづらいかもしれないんですが私はそのように受け止めておるのですが いかがでしょうか?高野:ちょっと一つ私の立場を明確にしておきたいんですけど私はしがらみは何もありません
なので私の思ったことを答えますので特に誰かから何か言われてるということは 一切ありませんのでそういう立場から言うと まず悉皆検査がどうかということなんですけども多分 私の感じでは あまり深く考えてはらなかったんちゃうかな
(考えておられなかったのではないかな)と思います発言者不明:それは罪や…高野:なぜかというと2011年の段階では 子どもに超音波検査をかけたら甲狀腺癌がわんさか出るなんて 誰も思ってなかったんですよ質問者1:1人か2人だと思ってたんですよね…高野:そうです だから…聴講者:韓國のことはもう分かってたんじゃ…高野:あれは大人なんです 大人なので
子どものデータはなかった 子どもの…誰もなぜここまで混亂を呼んだかという一つの理由は 子どもの甲狀腺癌というのはめちゃめちゃ珍しくて子どもの甲狀腺癌を見たという人が 日本國內にほとんどいないんですよどういう人が呼び集められたかというと チェルノブイリの人なんですよねチェルノブイリで超音波検査をやった人が中心になって
あの計畫を立ててるとただそこでちょっとバイアスがかかって チェルノブイリの(超音波の)成果があるのであそこでも悉皆でいいんじゃないかという話に なったんじゃないかなと私は思いますあと 表記の問題も 確かにあそこまで…一つちょっと
やはりバイアスがかかったのは いわゆる國家プロジェクトですねなので せっかくやるんだったらデータを取りましょうという話は 絶対あったとは思いますそれがいいかどうかは私はコメントできませんけどもただ
あそこで悉皆じゃなくて希望者だけやってたとすると 逆にちょっとまずかったような気はするんですなぜかというと 全員にやってたら基本的に見逃しはないですよね例えば見逃しがあると言われるとか あと
何か別枠で検査とかされてそこで何か妙なデータを出されて さらに混亂が広がったとかそういう可能性もあるので 一概に悉皆が悪かったとは思わないんですけども結果的に悪かったんですけどねあの時點の判斷で悉皆というのが責められる… 責めるのはちょっと酷かなと私は思ってます質問者2:はい司會者:ちょっと質問外の一応
なるべく皆さんに聞いてもらいたいので短めに質問だけ あまり自論を長々としゃべられると困るので質問者2:質問だけです司會者:よろしくお願いします 質問だけよろしいでしょうか質問者2:ユニークなご意見ありがとうございました先生は チェルノブイリのいろいろな 甲狀腺癌の治療が行われたのはあれはしなくてもよかったんだとお考えなんですか?高野:チェルノブイリに関してはかなりデータが錯綜してて
ちょっと混亂を招いてる面もあるんですよ だから…質問者2:いわば どちらかということです 今おっしゃられたように 福島と同じようにあれは本當はやる必要なかったんだとお考えなのか?
高野:チェルノブイリの場合は確実に 放射線誘導性の癌というのは一定數あったはずですただ それが全例かというと 報告によっていろいろですけども
6割とか5割とか3割とかいろいろなんですけどもただ 言えるのは 多分超音波検査は必要なかったと思います質問者2:超音波検査を入れることによって 5年後からの
検出というのがはっきり分かるようになってきたんですよね高野:それもちょっと微妙ですね…質問者2:いえいえ それはもうはっきり向こうでの事実として 分かってることなんですですから先ほども出てたかもしれないけども… 高野:それもちょっと微妙ですね…質問者2:甲狀…超音波を使ってやったので分からなかったと?
司會者:先生がおっしゃるのは超音波じゃなくても 觸診とかでよかったんじゃないかということですよね?高野:そうそう そうです質問者2:ですから それでは
ずっと検出されてなかったという狀態だったわけです…司會者:だから 超音波でも出たかもしれないけど 觸診でも出たんじゃないですかという…高野:だから超音波までする必要があったのか どうかというところは
今となってはちょっと微妙なんですよ質問者2:だからチェルノブイリでも じゃあ 必要なかったと?司會者:可能性があると…
高野:超音波ね…質問者2:(必要なかった)というふうに先生はお考えなんですか?高野:例えば觸診とかによるスクリーニングは 必要だったかもしれません超音波はちょっと微妙ですね司會者:それが先生のお考えということで… 質問者2:はい ただ…司會者:じゃあ次の方ですね 先に手を挙げた方…
マイクないので大きめの聲ですみません よろしくお願いします質問者3:質問の前にちょっと補足ですけれど チェルノブイリの場合非被曝低被曝群の子どもの移動検査というのをやっていて それを5萬人ぐらいやっていてそこから甲狀腺癌は1つも出てないというのが まず前提にあるのでチェルノブイリの場合
放射線影響はあったということで もう結論が出ています これはもう動かないのでそれを前提になんですけれども 私は親戚が一家
郡山におりまして甲狀腺癌家族の會の協力をしている ***と申しますけども高野先生に甲狀腺癌家族の會から 質問狀が出てますよね?公開質問狀 専門家の発信が重要ということで
先生に質問狀を家族の會が出したんですけどもまだ回答をいただいてないということなんですけども こちらは回答のご用意はあるんでしょうか?高野:それに関しては 実は
ちょっと文面を拝見したんですけども2點ほどちょっと私としては回答しづらいという… 質問者3:それは専門家としての責任はどうされるんですか?司會者:ちょっと 聞いてから
聞いてからにしてください高野:まず第1點 ちょっとこれは 聞かれたのであえて言いますけどもうちょっと勉強していただきたいというのともう一つ…質問者3:それを具體的にご指摘ください 高野:過剰診斷 リスボン宣言 芽細胞発癌 この3つです質問者3:じゃあ具體的に
だからそこを どこが間違っているとか そういうことをご回答いただければいいんです高野:間違っているというよりもちょっと 定義の段階から多分ご理解してないので質問者3:ですから
そのことをご回答いただければいいので高野:それをしようと思うと 今の講義をもう一回しないといけませんので…質問者3:それで結構です それを文章でご回答…高野:もう一點もう一點…2點目ですけども あの文章の中で例えばこの場合どうやって責任を取るんだ
この場合どうやって誰が責任取るんだという話がいっぱい出てきます これね 私は今回の福島の問題で一番やってはいけないことだと思ってるんです 質問者3:それをご回答いただけたらいいので…高野:だから その2點で先ほど私は
スライドの中で言いましたけどももうちょっとこの辺まで來てくれていただいたらお話もできるかと思うんですけどもまぁ今は大阪なので せめて名古屋ぐらいまで來ていただいたら お話ができるんですけど今は多分ブラジルのサンパウロ辺りにいてはるので もう少しこの辺りまで
まず來ていただきたいんです質問者3:ちょっとそれは意味が分からないので… 高野:そういう回答で今回はご容赦ください質問者3:では具體的に質問いたしますけども 超音波検査が必要ないということなんですがこれは米國の論文でも出ていますけども 例えば症狀が出てくると肺への転移が増えるというふうな小児甲狀腺癌のデータが出ていますので
そうなりますと 例えば超音波でないと見つかりにくいですよね觸診で見つかるようになるということは 肺転移の可能性も増えるということですよね高野:その辺のエビデンスは無いんじゃないですかね 質問者3:肺転移…高野:逆にそれがあるんだったら
例えばアメリカ甲狀腺學會とかも 超音波を推奨してるはずなんですよ質問者3:いえ それは原発事故があった場合のことですので それはあり得ないです高野:それはアメリカの甲狀腺學會のガイドラインでは
はっきりと 被曝影響があってもそうしなさいと書いてあります質問者3:アメリカの甲狀腺學會 小児甲狀腺癌では 被曝影響がある場合は年1回の診察というふうに書いています高野:それは觸診を優先しなさいと書いてあります質問者3:優先しなさいとか書いてません
超音波検査は推奨も否定もしないと書いてあるんですよ高野:いえ 推奨も否定もしないまず觸診をしてから精密検査をしなさいと 書いてあります質問者3:推奨も否定もしないわけですから別にそれはもう…高野:その後で觸診をしてから精密検査をしなさい ということを書いてますだから超音波検査をいきなりしなさいとは 書いてないんですよ質問者3:しなさいとは書いてませんけど
してもいけないとも書いてないです [會場笑い]高野:いえ だから…質問者3:要は推奨も否定もしないということです高野:それは文章をちゃんと読んでいただいたら そう書いてありますから主催者:詰問的な質問は やめてください
皆さん他に聞きたいことがありますので司會者:はい 他の… 質問者3:もう一つあります主催者:もうやめてください 司會者:すいません 他の方がいらっしゃいますので…質問者3:肺転移した場合…
司會者:あとでお願いします主催者:あとでお願いします司會者:じゃあ先ほど手を挙げた方…じゃあ***さんもう一人いらっしゃった気がするんですが…そしたら***さん質問者4:いいですか?今日はありがとうございます 先生のお話を伺ってるとちょっときつい言い方になっちゃうんですけど 専門家の方 あと専門家の意見を冷靜に受け取って
政策を練り上げる方政治家とか官僚の方 あとそれを受け取って 福島の親御さんとか東京の親御さんとかに伝えるメディアの方その責任が一番重くて 一般の人から見ると 言葉は悪いですけど醫學のこととかはやはり専門家の一致した もちろん専門家が100人いたら
100人一致するとかはないかもしれないけどまぁ90何人とか8対2なのか 9対1なのか分からないんですけど一応コンセンサスみたいなのを作っていただいて 少數意見としてこれはあるし トンデモとは言わないけどごくごく少數意見としてはこうなるけど
9割方はこうですよというのをいただいて専門家に委託する政策ということで言うと それこそ僕らみたいな一般の方に説明したのはすごく嬉しいんですけど 僕はちょっと橫から見てると 今のような議論をお醫者さんの間でやってほしいなという気がすごくしていて ひょっとして 先生がサンパウロとかおっしゃたのももうちょっと醫學的なところで議論ができる土壌
のような質問であれば答えられるんだけどというように僕には聞こえたんですけど 質問は ごめんなさい 短くします甲狀腺學會の中でそういう
コンセンサスを作ろうという動きはないんでしょうか?高野:それは私にとって ものすごく答えにくい質問なんですけども質問者4:ごめんなさい すいません高野:あえて言いますけども そういう動きはないです質問者4:先生はそれはどう評価されてるというか…高野:評価してないです司會者:困った狀態と…質問者4:分かりました ありがとうございました
すいません ちょっと辛い質問をしてしまいました司會者:次の質問に移る前に 司會のほうから注意點なんですけどやはり先ほど高野先生からあった 立場を超えて子どもたちを守ることで一致しましょうということで議論を進めていますので 當然
科學に対する理解の違う方もいらっしゃるでしょうけども先生の言ってることがおかしいんじゃないかと思ってる方も いらっしゃるかもしれないけどもそこのベースは一緒なので 要するに子どもたちにとって一番いい解決法は何なのかそれを科學的な見解も突き合わせつつ その中から探っていくというそういう立場でやはり皆さんのほうも議論してほしいというふうに思いますので
よろしくお願いします はい じゃあ…質問者5:すいません 2つあるんですけれども 先生のホームページを見ました癌の議論として納得できる議論であるなぁと思ったんですけども
あれは甲狀腺に特殊な癌の議論であるのか他の部位の他の癌でもそのようなことが発見されているのか 分かってるのかというようなことが一つですねそしていま出ました學會の話ですけれども アメリカの甲狀腺學會は まぁ一定の
ずいぶん評価してるわけですねしかも もうずいぶん昔に2010年ですか…高野:2015年ですね 質問者5:15年ですか高野:最近ですね質問者5:評価されてるわけですよね まぁ日本ではどうなのかなぁと癌の治療は切るのが一番というのが
當然行われてると思うんですけどもね今 癌全體ではもうちょっと変わってるんではないかな という気もするので教えていただきたいですねそれからもう一つは さっきデータが特に役に立たなくなるだろうというお話があったんですけども
それはちゃんと記録しておけば(受診者が)減ってもデータは役に立つだろうと私は思ってるんですねですから 例えば被曝手帳とか 子どもたちでしたら甲狀腺手帳とか今持たせて記録していけば たとえ數が減っても 私は役に立つんじゃないかと
將來ずっと先です30年かもしれないし40年かもしれない 先になると思いますけど多分役に立つと思うので そういう提言もできたらしていただきたいなと思います実は 他の大人全部も本當はしたいと思うんですけどね
以上です高野:最初の芽細胞発癌なんですけど これは実は甲狀腺の癌というのは特に若者の癌というのは非常に特殊なもので それがあるからこそ出てきたものなので他の癌でも同じような考え方をする人も出てきてますけどもまだ甲狀腺ほど確固としたものは 確立されてないというところだと思いますただ私は講演の中で言いましたけど
甲狀腺癌の自然史というのは芽細胞でも多段階でも関わらず もうコンセンサスができてるのでここであまり議論することはないのかなと思います 今回の福島の件を考える上ではあまり関係ないものですねそれで2番目の…何でしたかね 日本でいろいろやってる…質問者5:データ…高野:で…質問者5:あ 違う 2番目…高野:アメリカの何か…質問者5:いえ
日本の學會はどうなんですか?高野:日本の學會で例えば小児の甲狀腺癌の 治療のガイドラインを作ろうという動きはあるんですよただ過剰診斷問題に関しては 実はやはり 特に甲狀腺學會甲狀腺外科學會は當事者なんですよねこれがちょっと大きな問題です
だから非常に動きが鈍い3番目の データを集める… 私は非常に失禮な言い方をして申し訳なかったんですけどデータを取ることに意味がないとは言ってないんですけど ただ 今以上の新しいものが
畫期的な変化が起こるというのはちょっと期待できないんじゃないかということを言っただけで當然侵襲がない 子どもに影響がないものだったら醫者は何でもどんどん集めたらいいので それこそ超音波は全員しなくてもいいんだったら***もいっぱいあるわけですから そこに どんどん精力をつぎ込んだらいいんですよ
そういうことで…質問者5:じゃあ***と…高野:そうです だからそれはどんどんやるべきだと思いますね質問者5:はい 個人にデータを持たせるべきだと思うんですよ 內緒で持たれてもねダメなので…高野:それはどうなんですかね やはりその辺は 長崎とか広島の被爆者の例がありますよね例えば福島の子どもとかを被爆者(被曝者)に しちゃうのがどうかという議論が多分出てくるのでそこはちょっと考えないといけないかもしれませんね質問者5:まぁ考えないといけないけど…司會者:すみません 次の方がいらっしゃるので…質問者5:分かりました質問者6:先生の多段階発癌説とか出された説は
それ自身がまだ論爭の段階だと思うんですけどもその議論と放射線の影響があるかという議論は 當然に別個の問題だと思うんですけど先生は今日は放射線の影響はないという前提の中で 甲狀腺の問題をどう考えるかということで自分の説を述べられたと思うんですけども では今日の話では放射線の影響は無いというふうに判斷なさっている根拠は
途中でしゃべられた中に UNSCAERがそう言ってるからということで唯一 語られた中ではそれだけが示された根拠だと思うんですけど そういう理解でいいんですか?高野:そういう理解でいいです その話に関しては
私は放射線の影響がないとは言っていないんですよそれはあるかもしれないし 分からないかもしれない そこは斷定するべきではないと思うんですけども唯一言ってるのは甲狀腺癌の自然史ですね これは要するに専門家內でコンセンサスができているという話で申し上げたんですけどもそれで予測するとどうしても過剰診斷というのは
放射線の影響雲々のレベルをはるかに超えて超音波をする限り出ちゃうので 要するに放射線の影響を調べるのはそれは結構であるとただ超音波だけはやめてくれという そういう話なんです質問者6:過剰なことは それは認めることは
そういう現象があるということは承認したとしても同時に放射線の影響も 同時に重なって出てるというふうに考えるのが僕は自然だと思うんですけどね高野:當然そういう考え方もあると思いますだからそれはそれでよろしいんですよ おっしゃってる通りで それはそれでいいんですけどただ
その調査の方法が問題だということなんです なぜ超音波にこだわるのかということですね他の調査(方法)もあると思います質問者6:これ 先生が配られたこの案內狀も 福島の健康調査をやっている目的の一つに事故による被曝線量の評価を行うとともに
被曝による健康への影響について考察することというのがあるんですけど この問題は抜きにして基本的に県民の不安を解消するためにどうこうというのが 論理の主だったのでこの問題は放射線の影響のことばかり見ずに というようなことであって…高野:それは重要ですよね質問者6:その意味で
例えば先生の議論に立って 若年の発癌はもうそれ以上進まないとしても放射線の影響でそれが30代40代になってきたら それが高まってくるかもしれないしそれはまだ実証されてないことなわけなので高野:そうです その通りです質問者6:その意味でやはり検査は 必要ではないかなと思うんですよ高野:そうです 検査は必要なんですけど
超音波は やめてくれということだけです質問者6:超音波司會者:超音波検査があまりにも…高野:超音波だと 要するに一生悪さをしないやつを ガバーっと捕まえちゃうんですそれを避けないといけないんですよ
ただ もしおっしゃってる通りのことだとしたらもうちょっと検出感度を上げたほうがいいんですよねもうちょっと大きくなった段階で見つけるような 手段にしたほうが安全なんですそれだけの話なんですよ だから放射線の影響を 調べるななんてことは一切言ってないですから司會者:はいじゃあ次…質問者7:今まで高野先生のお話を聴いて
多分だいたいは理解してると思うんですけども念のため この過剰診斷のところで 3の「過剰診斷は悲慘」というところのご説明はいっぱいいただいたなぁと思うんですけど4の「経過観察はもっと殘酷」の內容を もう少しお伺いできればと高野:例えば醫學部生で
たまたま実習とかで 超音波検査で癌が見つかってしまう人が時々います私は甲狀腺を専門にしてるので 紹介されて 來ます醫學部生にどうする?
と聞くと 「うーん…」と考えますね彼らはよく分かってるんですよ 甲狀腺癌というのは特に若年者もう怖くないと知ってるんですけど それでも「うーん…」と考えるまぁちょっとしばらく様子見とくかねぇと言って
検査をしますとりあえず3か月ほどみます 耐えられないんですよいつかは手術になっちゃうんです 醫學部生でさえなぜかというと 例えば醫師で國家試験受けないといけない
そんな時に癌が悪くなると困る結婚しようと思ったら パートナーから パートナーの親から嫌味を言われたとか手術しろと言われる そんなの耐えきれないです それを一般の方が耐えきれるとはとても思えないですよね質問者7:ありがとうございます。司會者:はい
じゃあ質問 すいません 初めての方…質問者8:今の過剰診斷…ごめんなさい…自然史は 甲狀腺癌の醫者の中で共有されてるとおっしゃいましたよね先生高野:はい質問者8:それでありながら 學會の中で 過剰診斷が止められないって私ちょっとその2つのことが全然結びつかなくて
例えば大人の事情とか言ってることにあるのかなぁとかさっき何か當事者だからダメとか ちょっと私には全然そこの論理が繋がらないんですよね高野:特にそこは本當に 本當に申し訳ありません ただ
それが現実なんです質問者4:先生はおかしいと思ってらっしゃるということですね?高野:はい司會者:何とかしたいけどできないで困っておられると質問者8:でも一般の人の立場からすると 先生のおっしゃることを聞いて「あぁそうだな」と思っても検査を始める時に 検査を考えた先生が
早期発見早期治療は 大事ですとおっしゃったわけですよね 県民に向かってそれをその當事者が 言われた方が取り消してくださらないと
県民の中では消えなくて結局 ある先生と高野の先生の対立というふうに 県民の頭の中ではそう殘ってしまうと思うんですよね高野:はい質問者8:それはどうしたらいいんですか?高野:それも重々分かりまして
私が福島の件に関わることになって一番損をしたなと思うのがそこなんです但し一點だけ これはどうしても福島の方に ご理解いただきたいのは2011年と今では甲狀腺癌の見方自體が 全然変わってるんですよだからそういう點では非常に不幸なことで例えば2015年に事故が起こってたら だいぶ狀況が変わっていたと思うんですだから2011年の時點での
この検診を計畫された先生方の発言というのは味方するわけではないですけど ちょっと割り引いて聞いてあげないといけないと思いますし逆にそういう方々が胸襟を開いて 実はこうだったんだということをおっしゃれる環境というものを 作ってあげないといけないんじゃないかなと思っています質問者8:その環境を作るのは
でも一般の人なんですかね?専門家の甲狀腺醫の中で…高野:多分學會だと思います 私は質問者8:學會でできないんですか?高野:學會だと思いますけど
學會なんです[會場笑い]質問者4:辛いな…高野:學會が主導を取るべきだと思います司會者:じゃあ すいません あとに進み…質問者3:先ほどちょっと言いかけたんですけども 過剰診斷
進行しない癌であると高野先生は考えておられるそれはまぁ結構ですけども それは最終的には先生のご意見に過ぎないという(ことです)実際の小児癌 家族の會の お子さんたちの癌は進行しているさらに
甲狀腺癌の他の経過観察を 微小癌の観察をされている(隈病院の)宮內先生も手術が必要な狀態だと認めているとさらに甲狀腺癌の第一人者の清水一雄先生も 早期の內視鏡で取れるぐらいの癌であれば早く取れば再発は少なくなると述べているとさらに 実際に診斷
手術され執刀されている鈴木(眞一)先生も 超音波検査の利益不利益は當初から理解し甲狀腺専門家のコンセンサスを得た上で 抑制的な検査基準を設定していると悪性7項目のほとんどに合致する場合に 細胞診をしているというふうに述べているわけでそちらのほうが
先生のご意見に比べて 非常に具體的で分かりやすいと思うんですねこれらに対して先生が反論するのであれば もうちょっと具體的に反論していただきたいと思うんですよねまぁ今日のは分かりやすいかもしれませんけども ほとんどが先生のストーリーに過ぎないものが多くてちょっとこれでは実際の患者が納得するのは無理です
まぁ先ほども言いましたけども こちらのお話でも…司會者:質問を…質問者3:質問ですから 例えば症狀が出たら肺転移が増えるだとかあと 確かに放射線治療すればほとんど治るんですけども
放射線治療には2次発癌やあるいは死亡率の増加というリスクがあるというふうに ガイドラインにも書いてますこういう情報が先生からは全く出てこないのは なぜですか?高野:それはご自分で勉強されたわけですか?
今おっしゃってた情報というのは…質問者3:それ以外に何があるんですか?高野:ご自分で?質問者3:何を聞かれているのかよく分からないから…司會者:要は専門的に…高野:どなたか専門家の方に
ご自分のおっしゃっていることを 確認されたことはありますか?質問者3:ありますよ それは高野:どなたに?
質問者3:それは個人的な情報なので…高野:いっぺん(一度)ちょっと整理して…質問者3:ですから 具體的にどこが間違ってるかと?高野:あのね 申し訳ない ほとんど質問者3:だから質問の答えになってませんよ
それは質問者1:いえ 間違い過ぎてて答えようがないという話ですよ高野:そうですよ ちょっと…質問者3:いえ だから 今のような情報を…高野:要するにサンパウロまで行ってられるので もうちょっと
せめて名古屋の辺りまで來ていただきたい…質問者1:まだ話せるほどの知識は ないのでというお話ですよ これは質問者3:それは…高野:せめて名古屋か京都辺りまで まず來てください質問者3:それはちょっと専門家の態度としては
失禮じゃないですか司會者:いえ それは多分どなたか専門家の方が言われている 表面的なところは そのまま言っているのかもしれないけどその裏に
言われてないベースになっているところが あまりにもずれてるということだと…質問者3:いえいえ 専門家が表で言っていることは…司會者:それは表面的なこと…質問者3:いえ 表面的なことって
先ほどから言ったことならばそれは…質問者8:だから結局 この方じゃなくて 専門家同士が…司會者:そうそう その通りです質問者8:そういうことをこの方に 言ってらっしゃる専門家の方がいらっしゃって…質問者3:なぜ専門家(同士で)解決しないんですか?
司會者:そうなんだよね…質問者8:そこでそういう説明をすると こういうふうに取られますということを専門家同士で説明の仕方をうまく作っていかないと 結局…高野:そうですね 司會者:その通りだと思います高野:多分一番いいのは
やはり學會が聲明を出すことだと思うんですよ[會場內 うなずく聲が複數]高野:それが解決なんです だからそう動いてほしいと思ってるんですがあのう…はい そうは今のところなってないです ごめんなさいね質問者9:先ほどコンセンサスが取れてると
何回かおっしゃったんですけど司會者:自然史に関して… 高野:自然史 自然史 はい質問者9:では(コンセンサスが)取れてない部分も多いという…高野:いえ
だから例えば過剰診斷とかを 學會で議論しようという話が出てきてないんです質問者3:取れてないです司會者:自然史の辺りはどういうことになってるとか…高野:自然史は あのストーリーで 反対される方はまずおられないと思います質問者3:ストーリーに関しても だから…司會者:いえ
すいません ちょっと…質問者3:幹細胞レベルの話と病狀と全く違うわけですよ質問者2:隈病院の山內先生が…高野:宮內先生ね 宮內先生だと…質問者2:隈病院の… 高野:宮內先生?質問者2:宮內先生が
最近公表された論文で 私も直接見てはいないんですけど多分先生はご存知だろうと思いますけども成人の甲狀腺癌について 経過観察をした場合と 処置をした場合とをこの20年間で比較したらば
歳を取った人ほど何もしなくても(処置せずに経過観察で)OKだったけど若いほうの人は やはり処置したほうがよかったというような 論文を書かれてたというんですけども 先生はそれは…高野:それ
私が(今日の講演で)出したやつじゃないですかね?質問者2:はい? 高野:私が今日出したやつですかね?
質問者2:いえ 違うと思いますよ高野:あそこに 例えばリンパ節転移とか 若い人のほうが出やすいという話が載ってましたけど質問者2:あぁそうでしたか
じゃあその宮內先生の論文のお話ですか?高野:多分同じ論文だと思いますけど質問者2:あぁそうなんですか そうするとやはり若いほうが いろいろ治療したほうがいいという形の結論らしいんです高野:治療…小さいのに関してですよね?
質問者2:そういう…[両者同時発聲につき聞き取り不能]質問者2:いえ 小さいとか大きいからじゃなくて 宮內先生の論文は…高野:経過観察をしてるということは 小さいもののはずですけど…質問者2:まぁ結局もう成人だけですから
成人の場合だったらば ある程度大きくてもそのまま大きさが動かなければ 経過観察ということになると思うんですよね高野:小さいやつですよね? 小さいのを切る必要はない…司會者:最初から大きかったら経過観察とはならない…
高野:そう 経観しませんからね 大きかったら最初から司會者:ということで 初期…質問者2:まぁ何か異常が起こって異常なり何なり問題が起こって まぁ甲狀腺を切る一辺倒だと思います ですから…高野:だから若い人のほうが…質問者2:細かいことはお聞きにならないでください
多分 だから 違うんだろうなと思ったのは…主催者:もうちょっと勉強してやるようにしようよ もう質問者2:そういうふうに若いほうが
治療したほうがいいんだという質問者2:結論になっているという そういう論文だという話を 非常に最近に発表されてるということを聞いたんです高野:治療し…質問者2:ですから それでいけば子どもも早期発見 早期治療
だろうなというふうなことが推測されるなと思ったんです司會者:そういうふうに***さんは思いはったので それに関してどう思われますかということですね?質問者2:はい高野:多分リンパ節の再発とか そういうのは若い人に多いんですよ多分そのことをおっしゃってるんじゃないですかね質問者2:だからリンパ節に転移したぐらいなら問題にしない
肺まで転移しなければOKだと こういうお考えですかね?高野:リンパ節転移というのは 甲狀腺癌の場合は
生命予後には基本的に関係ないのでただうっとうしいのはうっとうしいんですよね それをすると質問者2:いえ でも手術の條件としてはリンパ節転移の… 主催者:質問にちゃんとね…主催者:質問の回答をちゃんと聞いてから…
遮らないでください すいません質問者4:すいません またもう一つの質問になるんですけど先生は學會が(聲明を)出すのが 一番なんじゃないかとおっしゃてて僕もそうなんじゃないかと 前々からいろんな問題に対して思ってるんですけど僕らができる 一般の人ができることというのは
個別の先生にいろんな意見を戦わせてくれというのではなくて先生同士で 學會で あるレベル同士の方たちで議論を戦わせてほしいつまり學會に 議論してコンセンサスを出せという
一般市民からのプレッシャーをかけるべきと考えてよろしいでしょうか?高野:あのう…いえ…私の口からそういうことを言うのは 非常に問題がありますけども [會場笑い]ただ
一般市民の方からそういう希望があるということを 學會が知ったら學會としては動かざるをえなくなることは 確実だと思います質問者4:ありがとうございます質問者10:すいません それは
學會に要望書を出すみたいな形になるんですか?高野:私のほうからそれを申し上げるのは なかなか難しいのですが… [會場笑い]質問者10:いえいえ
他の手続きとか…高野:ただ ものすごくいいことを おっしゃってるとは思います[會場笑い]司會者:じゃあ ちょっと時間が押してます これが最後の質問とさせてください質問者6:私は科學史を研究している者で
科學論的にいうと例えば先生が科學を語ろうといった場合に 先生の説は2014年を境にもう科學コミュニティの中で コンセンサスが取れていってるものなのかあるいはパラダイムの転換がまだ起こるための せめぎ合いのような時期なのか どういう…先生のおっしゃり方だったら
もうパラダイムの転換が起こっていてそれがもう常識の段階に2014年以降はなってるのにまだそれを理解しない學者もいてるという おっしゃり方をしたように思うんですけどもそうじゃなくて 聴いてると まだせめぎ合う段階じゃないかなと高野:すいません ちょっとご質問していいですか
ご専門はどの分野ですか?質問者6:科學史 科學論です高野:実は醫學というのは非常にやっかいな學問で理論がありますよね 理論が先に立つことがあるんですよだから多段階発癌というのは もう40年前からずーっと言われてるんですけども甲狀腺に関してはずっと昔から
合わない合わない合わないと言われてきたんですけどもそれが鵺(ぬえ)のようにいろいろ形を変えながら もうずーっと多段階発癌でやってるんです私の言ってた芽細胞発癌というのは 20年前に出してから全くその形を変えてないんですけどもたまたま2014年のデータが それにぴったり合ったということで
ちょっと勢力を盛り返したんですがそこで多段階発癌の人が 完全に主義を変えちゃったんですよね多段階発癌でも こういうふうに説明したら 説明できますよというふうに変えちゃってまあWILLIAMSさんがそうだと言わないんですけどもそういう形で理論のほうを
現実に合わせていくということをされているとそれが本當に多段階発癌と言えるものだろうかという 疑問はあるんですけども醫學というのはそんな感じで 何というか節操がないというかそういう面があって最終的には正しいところに落ち着くんでしょうけども なかなか理論一筋でスパッというのは難しいところだと思います質問者1:現象としてはコンセンサスがあるということですか?
高野:そうです 現象としてはコンセンサスがあります司會者:要はさっき言われてた…高野:解釈は違ってますね司會者:若年者に対する甲狀腺癌(の自然)史に関しては コンセンサスがあるけれども高野:そうですよねそのメカニズムに関しては 今のような論爭だと司會者:今日はいろいろ議論になったと思うんですが 本當に
こうした議論 やはりちょっと考えてほしいんですよ高野先生の言われていることを信じる方もいらっしゃれば 信じられない方もいらっしゃるかもしれませんがやはり もし高野先生の言っておられることが本當だったら
どれだけ今 悲慘な大変なことになってるのかということですよねだからやはり 私たちは本當に真摯に子どもたちのことを考えて 本當にもしこっちだったらどうしようということでそういった視點から
可能性とか対処というものを 考えなければいけないんじゃないかなと僕は思ってます質問者3:逆の可能性も考えていかないと…司會者:もちろんそうですよ それを両方考えた上で 考えなきゃいけないだから実際にデータはある程度出てきてるわけですから
そのデータを元に エビデンスを元にやはり 我々は限られたエビデンスの中で 英知を結集してみんなで突き合わせてやっていく以外に
人間ってできないわけですからやはりそのことを… それを相手をやっつけるとかいうことではなくて子どもたちのために一緒に戦おうという 戦わせるという立場で今後もこういった勉強會を 進めていったらいいんじゃないかなと思っています今日は高野先生
本當に長い間ありがとうございました高野:ありがとうございます[會場拍手]
人工知能と将来の教育の発展傾向
会社の社会教育の将来の発展に影響を与える要因の中で、人工知能は無視できない重要な変数と見なされています。したがって、近年、人工知能と教育に関する研究は成長傾向を示しており、新しい冠肺炎の世界的な発生は、この主題に関する研究のペースを加速させ...
被智能汽車坐墊“監視”,打工人的臀部要如何進行安放
圍繞人臉識別的討論未歇,關於臀部的“監控”又來了。日前,杭州一家企業研發的智能坐墊頗受關注,被安排試用其某款可記錄心跳、呼吸、坐姿等數據的智能坐墊後,多名員工遇到人力資源部門的超常規關注:“幾點到幾點不在工位,是否帶薪拉屎”、“為什么下班提...